[29日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は29日、総額5000億ドルのプライマリーマーケット・コーポレート・クレジット・ファシリティー(PMCCF)の運用を開始した。新型コロナウイルス危機で変動が高まった金融市場の安定化を図る緊急措置の一環で、社債発行市場での直接購入が可能となる。

声明で「PMCCFは、ストレス時に適格な社債発行体に信用供与を行うことで、市場の流動性と大企業の信用力を支援し、資金調達のバックストップとしての役割を果たす」とした。

FRBが3月に社債買い入れ制度を打ち出したのを受け、新型コロナ流行による不透明感の高まりにもかかわらず、米企業は起債による資金調達が容易になった。

FRBは、現在の市場の状況を踏まえると、PMCCFの利用は多くない見込みだと指摘。それでもなお、市場の状況が悪化する場合に備えて運用を開始するとした。FRBは社債流通市場から購入するセカンダリーマーケット・コーポレート・クレジット・ファシリティー(SMCCF)を通じて5月中旬に社債の上場投資信託(ETF)の買い入れを開始し、今月に入って個別企業の社債の購入を始めた。

SMCCFとは対照的に、PMCCFでは参加を希望する企業からの認証申請が求められる。

PMCCFでは社債を買い入れる2通りの方法があり、社債の発行時に全額を購入するか、シンジケート・ローンあるいは新発債の一部を買い入れることが可能。

同一企業の社債はPMCCFとSMCCFの双方を通じて買い入れが可能だが、両制度を合わせた購入可能額の1.5%以内、額にして7500億ドル以下に収まるか、企業の発行済み社債の10%以内にとどまる必要がある。

SMCCFでは広範な社債の指数に基づき買い入れが行われており、FRBはこの指数のリバランス目的で流通市場で社債を売却することはないとしている。

*内容と写真を追加しました。