【10分読書】トマ・ピケティの原点は「この1冊」にある
NewsPicks編集部
949Picks
コメント
注目のコメント
ピケティ教授は、新古典派経済学(伝統的ケインズ経済学やマルクス経済学でないとの意。ミクロ経済学に基礎付けを持つ経済学)に基づいて議論している。「実効限界税率」という概念(限界概念)が用いられているのが証左だ。公共経済学では、実効限界税率は重要な概念の一つである。その理論的背景を持ちつつ、不平等と再分配を議論している意味では、経済学界での「右派」だが、その学派内での「左派」といえる。
上記の意味での新古典派経済学でも、不平等や再分配はもとより、労働組合の機能も活発に議論している。不平等に左翼的に対処するか右翼的に対処するかという二者択一ではなく、どの場面でどちらのスタンスを採用するのかという線引きの方が重要になる。企業内においても自由や拡張が重要になる場面と、傷つきを軽減させるための施策が必要になることもある。今どちらの議論をしているのかを明確にしないことが原因で不要な社内対立が起きているケースもあるので注意が必要。
重要なのは、「右派の市場が再分配をもたらす」は数学的にあり得ない考え方だということである。統計分位に関する最新の理論によれば、自由は必然的に極端な不平等をもたらすのである。だから自然に任せればかならず極端な不平等になり、再分配は意識的にしか行う事でしかできない、ということが広く認識されることが重要である。