[フランクフルト 27日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル専務理事(ドイツ)は27日、ECBの国債買い入れは必要であり、副作用を大幅に上回るメリットがあると述べた。

ドイツ連邦憲法裁判所は5月、ECBの資産買い入れプログラムを巡り、ECBが政策の必要性を証明しなければ、ドイツ連銀は3カ月以内に国債買い入れを停止する必要があるとの判断を下している。

同専務理事は、新型コロナウイルス流行後に急増しているECBの国債買い入れについて、ユーロ圏を1つにまとめる上で必要不可欠であり、一般預金者の保護にもつながっていると指摘。

「平均的な預金者にとって、ECBの新たな政策措置から生じる追加の損失は非常に小さい」とし「ECBの危機対応策は、ユーロ圏の物価安定に必要であり、適切であり、釣り合いの取れたものだ」と述べた。

同専務理事は「現在の危機に対応するために中銀預金金利を引き下げていれば、(預金者の)推定損失は過去6年間の累積損失にほぼ匹敵していた」と指摘。

高債務国の借り入れコストを下げるという構想については、ECBの責務を超えており、政府のモラルハザードにつながるとの否定的な見方を示した。

「新型コロナの流行でユーロ圏に亀裂が入り、深刻な分断が広がるのをただ傍観し、長期的に単一の金融政策に復帰できない恐れが生じれば、そもそもの共通通貨構想に逆行することになる」と述べた。