[香港 29日 ロイター] - 年初からの株式での資金調達で、中国に本社を置く企業が世界の全体額の半分を占めたことが、リフィニティブのデータで明らかになった。新型コロナウイルス禍からの中国経済の復興が比較的早かったことや、米中関係の悪化を受けた中国企業による国内上場の動きが背景にある。

中国企業が株式発行・売り出しによって1─6月に調達した資金は321億ドルと、世界全体に占める割合が過去最高の49.8%となった。香港での重複上場に伴う調達額も含まれる。一方、米企業による株式での調達額は158億ドルだった。

米法律事務所デービス・ポークの資本市場パートナー、Li He氏は「複数の政府が(新型コロナ対策の景気支援で)大規模な流動性注入を行っているため、中国勢が今年調達した資金の大きさには驚かない。この傾向は続く可能性がある」と指摘。中国企業は新型コロナウイルス抑制のための封鎖措置の早めの解除で恩恵を受けたとも述べた。

中国では昨年12月に新型コロナウイルスが発生し、1月下旬には世界で初めて、感染拡大抑制のために人々の行動や企業活動を制限する封鎖措置を講じた。

中国勢による資金調達を後押ししているのは、上海証券取引所の通称・中国版ナスダック「科創板(スター・マーケット)」の人気化と香港での新規株式公開(IPO)の成功例、相次ぐ大型重複上場案件だ。重複上場では中国の京東商城(JDドットコム)<JD.O> <9618.HK>が今月、39億ドルを調達し、中国のオンラインゲーム会社、網易(ネットイース)<NTES.O> <9999.HK>が31億ドルを調達した。

JPモルガンの中国向けグローバル投資銀行部門の責任者、ヒューストン・フアン氏は「中国企業にとっては、香港と米市場の両方が正常化しつつある」と分析。「市場の活動(取引高)は年初時点のいかなる想定もはるかに上回っている」とした。

米中間の地政学的緊張の高まりを受け、米市場に既上場の中国企業が、本国に近く、反中感情にさらされない市場で重複上場する流れがさらに強まると見られている。

事情に詳しい2人の関係者によると、香港での重複上場を検討している企業には外食大手ヤム・チャイナ・ホールディングス<YUMC.N>と物流大手・ZTOエクスプレス<ZTO.N>が含まれるという。両社からコメントは得られていない。

一方、企業として箔(はく)を付けるために米上場を求める中国企業も依然として存在する。

上半期に中国企業がニューヨークのIPOで調達した額は、17億ドルとなった。前年同期の34億2000万ドルは下回った。