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まず、今の世界のトップ3には、サウディアラビアのアラムコと中国石油天然気集団が入ります。ロシアのルクオイルやガスプロムも大きいです。イランも革命後は石油メジャーの支配下から抜けて、国営石油会社になりました。
世界の石油・ガス需要が減ったわけでは全然ありません。今年は減りましたが。8大石油メジャーが世界の石油産業を牛耳れなくなり、協調して価格を操作することもできなくなった、ということが欧米の8大メジャーの最大の衰退理由です。シェールオイル・ガスのこともありますが、中国の台頭と、中東、アフリカ、南米諸国で自分たちの統制下にない石油・ガス生産が増大したことが最大の背景です。
石油・ガス産業自体が衰退したわけではなく、中国企業などは、当面は積極的に拡大を続けるでしょう。一方、欧米の石油メジャーが世界の石油・ガス産業を再び牛耳ることはもはやないでしょう。それではどうするか、商売替えするのか、というのがこの記事の趣旨です。
再生可能エネルギーが重要なことは言うまでもありませんが、それによって石油産業が直ちに必要なくなるかというと、そんなことは無いと思っています。
その大きな理由は貯蔵性とエネルギー密度。最近、プリウスのPHEV車には屋根一面に太陽光パネルが取り付けられています。では、給油なしで走れるのか?夏場、青空駐車場で思いっきり1週間充電して走れるのはせいぜい数十km (30kmくらい?)です。
別に石油推進派でも自然エネルギー推進派でもありませんが、自然が作り出した石油というエネルギー源の凄さには感心させられるばかりです。
近年の原油増産をけん引しているのは米国で、シェールオイル中心。ただシェールはコストが高い。それに対して石油メジャーは遥か昔からこのビジネスを持っていて優良権益を多く持っている。原油価格の下落は石油メジャーにも影響を与えるが、一方で損失に最初に転じるのは高コスト事業者。また高コスト事業者が破綻すれば、一定の時間軸をもって需要が消えない限りは持続可能な水準に価格が戻る。
では需要サイドはどうか?まず根本的にはこれまで世界のGDP成長率より低いものの、ずっと成長をしてきた。二酸化炭素の排出ゆえに、発電用途が減ったりエコカーが増えても、である。自動車についても、電池の進化はおそらく期待されているより最近はサチってきている(リチウムイオン電池の延命)し、またトラックや船舶についてはディーゼルであって、それを代替するレベルには至っていない。それくらい人・モノの輸送は経済成長と表裏一体。また原油は輸送だけでなくプラスチックの原料でもある。下記を見ると足元では2割弱。
https://cen.acs.org/business/petrochemicals/future-oil-chemicals-fuels/97/i8
投資家はESG企業への投資を加速させています。石油メジャーに対する風当たりは強くなるばかり。石炭と同様の末路を辿るのでしょうか。
石油メジャーがどのような転換を図るのか、それとも図れずに終わるのかに注目。
電気がなければ、Appleはただのリンゴマークです。
石油産業が衰退するというのは、家電製品がこの世から無くなるといった荒唐無稽な話に聞こえるのですが……。