【三木谷浩史】「がん治療」は、ここまで進んだ
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注目のコメント
多くの治験に関わっている経験からいうと、
治療法が効果が明らかに既存の治療法を上回っている場合、
非常にお金のかかるフェーズ3の無作為化比較試験は必要ありません。
実際、第一三共から発売されたHER2陽性乳癌に対するエンハーツは
フェーズ2の単郡の試験だけでアメリカ、日本で承認されました。
お金のかかるフェーズ3が必要かどうかは治療法の効果によりますし
差が小さければ、より症例数を増やす必要があるので余計にお金かかります。がんは大抵はホモではなくヘテロの細胞集合体で複数のガン細胞の抗体が必要になり、その開発がかなり難易度高い。それにくっつく起爆装置的なものは、この赤外線を当てるタイプのもの以外にもα線をつかったものなどがあります。
がん免疫療法を研究している業界人として、こちらの治療法は何度もコメントしてきましたので補足させていただきます。(わかりやすいNIHの動画を添付)
「第5の」と呼ぶのはこれまでの「外科的治療(手術)、化学療法(お薬)、放射線治療」の3つに加えて、第4の「がん免疫療法 Cancer Immunotherapy」の台頭があり、それに続く形での表現になります。
近年の発展目覚ましく、競争も激しい第4のがん治療法ですが、オプジーボを代表とする「免疫チェックポイント阻害剤」や、キムリアなどのCAR-T療法を含む「免疫細胞治療」の2つを含んで示すことが一般的です。
個人的には「第5の; Oncology’s Fifth pillar」と業界での認知を獲得するには、前述の4つのように治験での実績や、特定のがんに対する効果が明らかで多くの場所で実施される時であり、分野として独立できるほど確立された時だと思います。
抗体に薬剤を付けてガンだけにお薬を運ぶ ADC (antibody-drug conjugate) は競争激しい分野ですが、この薬剤の部分を光感受性の物質(IR700)にしている点がユニークです。
光免疫療法というのは Photo immunotherapy (PIT) をいう新しいコンセプトで、記事中のNIHの小林先生の技術です。(作用機序動画:https://youtu.be/3yuVw90AEhs)
特定の波長(近赤外光:NIR, nea-infrared)に反応して細胞傷害性を示すというものです。
更にご興味のある方は、作用機序に関する論文のPick記事を御覧ください。
光免疫療法の細胞傷害メカニズムを解明
https://bit.ly/NP0704-1
ちなみに、条件付き承認制度は検証的臨床試験の成績を求めることなく行うかわりに、市販後に必要な調査等を実施することを承認条件として付されます。
また何でも対象となるわけではなく、大きく4ついずれも該当する製品と当局に判断されたものとなります。
https://bit.ly/NP-pmda-ref
楽天メディカルが、アメリカでの治験を進め、日本でも条件付き承認のパターンでこのステージまで進んでいるのも日本ではユニークな事例で、この治験がうまくいくかというのは多くの業界人が注目しているものと思います。