[ワシントン 24日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は24日、2020年の世界経済成長率見通しをマイナス4.9%とし、4月時点のマイナス3%から下方修正した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が経済活動にもたらした打撃が当初の予想以上に幅広く深刻との認識を示した。

21年の成長率見通しはプラス5.4%とし、4月時点のプラス5.8%から引き下げ。さらに、同年に新型コロナ感染が再拡大すれば成長率はプラス0.5%にとどまる可能性があるとした。

IMFは、ウイルス感染拡大抑制に向けたロックダウン(都市封鎖)やソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)が投資と消費双方に影響したと指摘。「ロックダウンによって幅広い総需要ショックと短期的な供給の混乱が引き起こされた」とした。

チーフエコノミストのギタ・ゴピナス氏は「まだ危機を脱していないのは明白で、グレート・ロックダウン(多くの国で導入された都市封鎖)からも抜け出していない」とし、「このとてつもない不透明性を踏まえ、政策当局者は引き続き警戒する必要がある」と述べた。

IMFは、世界経済がコロナ禍によって1930年代の大恐慌(グレート・ディプレッション)以降で最悪の景気後退(リセッション)に陥るとの認識を示しているが、ゴピナス氏は各国が実施した10兆ドル規模の財政支援や中銀による金融緩和が大規模な破産を食い止めていると指摘。同時に、回復の下地を整えるためにも追加支援が必要と強調した。

地域・国別では、先進国への影響がとりわけ深刻とし、今年の米国内総生産(GDP)は8%減、ユーロ圏は10.2%減と予想。ともに4月見通しから2%ポイント超引き下げた。

感染が引き続き拡大している中南米の見通しも大幅に下方修正。今年のブラジル経済成長は9.1%減、メキシコは10.5%減、アルゼンチンは9.9%減と予想した。

4月に経済を再開し、新型コロナ感染が終息しつつある中国については1%増と予想したが、4月時点の1.2%増からは下方修正した。

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