【直撃】日本の金融インフラは、あまりに古い

2020/7/8
初心者が、株式を取引する上で大きな障害となっていた手数料。
アメリカでは手数料無料の投資アプリ、ロビンフッドが若者たちに爆発的な人気を誇っている。
日本でも同じように「手数料ゼロ」を実現したスマホ証券アプリがある。
スマートプラスの「STREAM(ストリーム)」だ。
そして、スマートプラスは自社サービス、ストリームに使われている金融インフラを外部提供している。
どんな企業でも、この仕組みを使うことで「証券サービス」を始めることができるのだ。
同社はこれを、金融のAWS(アマゾン ウェブサービス)と表現する。
NewsPicks編集部は、Finatext(フィナテキスト)ホールディングス共同創業者の林良太代表取締役と、取締役CFOの伊藤祐一郎氏に話を聞いた。
林良太/(はやし・りょうた)Finatextホールディングス共同創業者/代表取締役。1985年生まれ。東京大学経済学部卒業。ドイツ銀行ロンドン投資銀行本部で機関投資家の営業などに従事。2013年、Finatextホールディングスの前身となる株式会社Finatextを創業。投資コミュニティーアプリの開発・運営や投資関連のアルゴリズムを提供するFinatextや機関投資家向けにビッグデータ解析サービスを提供するナウキャストを展開 (写真:会社提供)

ストリームは「見本」

──2018年に、手数料が無料の株式アプリ「ストリーム」の提供を始めました。
伊藤 フィナテキストは、もともとモバイルアプリや、ウェブサイトのシステム開発を行っていました。
その時に株式取引のアプリの企画をして欲しいという依頼を、受けるようになりました。
ところが、いざ素晴らしいデザインのサービスを提案しても、企業からは「その案だとインフラ改修だけで1億円はかかるので、実現できません」という言葉が返ってくるのです。
これには、困りました。
私たちは当初、オランダ発の投資アプリ「BUX」を参考にしていました。このアプリはベンチャーが作っているのですが、その裏側の受発注インフラは、実は証券会社が提供していたのです。
証券会社のインフラを、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を通じて、アプリに提供していたわけですね。
ところが日本では、その肝心の取引インフラが、ちょっとした変更だけで途方もない費用がかかる「レガシー」しかありませんでした。
そこで自ら、新しい株取引のインフラそのものを、ゼロから作ってしまおうという発想に至ったのです。