[東京 24日 ロイター] - 梶山弘志経済産業相は24日午前の衆議院経済産業委員会で、広告代理店大手の電通<4324.T>の取引先が下請け企業に圧力をかけ、電通社員も関与していた問題について「さらなる追加の調査を行うことは、現時点で考えていない」と述べた。

新型コロナウイルス感染症対策で実施予定の「家賃支援給付金」の事務事業委託に際し、5月23日に持続化給付金事業のコンソーシアム全体の管理・調整を担当していた電通社員が個人として、イベント会社の「テー・オー・ダブリュー <4767.T>(TOW)」の社員に対し、電通以外の会社に協力しないように圧力をかけ、TOW社員は電通社員の発言内容を踏まえ、翌24日に下請け企業に同じ内容のメールを送信したという。経産省が、事業を受託した「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」にヒアリングして確認した。

「家賃支援給付金」の事務委託はリクルートが落札したが、大手広告代理店の博報堂も入札に参加していた。

梶山経産相は、すでに関与した電通社員が処分され適切な人が就いたことや、電通として再発防止に向けたコンプライアンス教育を実施するとしてると指摘。持続化給付金事業の遂行には「影響がない」とした。

こうした圧力が独占禁止法の優越的地位の乱用に当たるのではないかとの指摘に対して、経産相は「公正取引委員会の管轄であり、回答する立場にはない」と述べるにとどめた。公正取引委員会の山田弘審査局長は、川内博史委員(立国社)の申告に対して「申告として受け付け、独禁法の規定に基づいて適切に対処したい」と述べた。

また、経産省は、持続化給付金事業に関して6月23日付で変更された履行体制図が出され、事業に関わっている企業は63社に上ることも明らかにした。

*本文2段落目の誤字を修正しました。

(清水律子)