[23日 ロイター] - ロイターの分析によると、米国で21日終了週に新型コロナウイルスの新規感染者数が25%急増した。感染者は25州で前の週から増加、うち10州では50%超拡大した。テキサスやフロリダ、アリゾナなど12州では増加数がこれまでの最多を記録した。

週間での増加は3週連続。増加率は前週の1%から大幅に加速した。

テキサス州で確認された感染者は2万4000人と、前週から84%急増。検査の陽性率も7%から10%に上昇した。

フロリダ州も前週比87%急増の約2万2000人。陽性率は11%と、前週からほぼ倍の水準に達した。

アリゾナ州では90%増の1万7000人。陽性率も20%となった。

世界保健機関(WHO)によると、陽性率の5%超えは極めて懸念される水準とされる。

これら3州の知事はいずれも、検査拡大のほか、若年層がソーシャル・ディスタンシング(社会的距離)を順守してないことを感染者数増加の要因と説明。しかし、一部保健当局者は3州が適切な制限を設けることなく、時期尚早に経済再開に踏み切ったこと批判している。

一方、13州と首都ワシントンDC(コロンビア特別区)では感染者数が減少。とりわけ、感染が深刻だったニューヨーク州では10週連続で減少。検査の陽性率も1%前後となっている。

1日当たりの新規感染者数も複数の州で急増している。テキサス州では22日の新規感染者が5000人を超え、1日としての最多を記録した。入院者数も11日連続で最多を記録し、主要都市ヒューストンの小児病院では大人のコロナ患者を受け入れる事態となっている。

ロイターの集計によると、カリフォルニア州で22日に報告された新規感染者は6000人を超え、過去最多となった。同州では農業地帯で感染者が急増しており、ローダイの病院は新型コロナ以外の患者受け入れを一部制限している。

アリゾナとネバダ州は23日の新規感染者数がこれまでの最多となったほか、ルイジアナ州では4月7日以来最多となる1300人超に達し、ミシシッピ州の増加も過去最多となった。

多くの州で入院患者数も増加。アリゾナ州では23日の入院患者数が2100人超と、2週間前から70%増加した。州政府のウェブサイトによると、集中治療室(ICU)の空きは16%となっている。

こうした中、西部ワシントン州のインスリー知事は23日、住民に公共の場でのマスク着用を命じた。米国ではこのほか約12の州や一部の主要都市がマスク着用に関するルールを導入している。

トランプ大統領はツイッターへの投稿で「米国で感染者数が増加しているのは、他の国よりも大規模な検査を実施しているからだ。検査が小規模であれば、感染者数はもっと少なくなっていたはずだ!」とし、感染拡大ではなく検査が感染者増加の要因という見方を改めて示した。

トランプ政権の新型コロナウイルス対策本部を主導する国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のファウチ所長は同日、下院エネルギー・商業委員会で証言。複数の州で市中感染が増加しているとし、「これらの州の感染拡大への対応は向こう数週間が正念場になる」と述べた。

米紙ニューヨーク・タイムズはこの日、米政府による新型コロナウイルス流行への対応が十分でないことを理由に、欧州連合(EU)諸国が米国からの渡航禁止措置を当面維持する可能性があると報じた。

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