【新浪剛史】これからの日本の「贅沢」は、GDPで表せない

2020/6/24
未曾有のコロナ危機によって、経済の先行きは依然として不透明だ。規模の大小にかかわらず、多くの企業が難しい舵取りを迫られている。
サントリーホールディングスを率いる新浪剛史社長も、その一人だ。
それでも、新浪社長は、このコロナ危機が日本の経済にポジティブな影響をもたらす面もあると指摘する。
感染者数の集計の誤り、10万円の給付金の申請手続きのトラブルなど、日本の行政システムの問題を、このコロナ危機は改めて明るみにした。
浮き彫りになった脆弱性に向き合い、日本はこれからどう変わるべきか。NewsPicksに語ってくれた。
新浪剛史(にいなみ・たけし)/サントリーホールディングス社長
1959年横浜市生まれ。1981年三菱商事入社。1991年ハーバード大学経営大学院修了(MBA取得)。1995年、ソデックスコーポレーション(現LEOC)代表取締役。2000年、ローソンプロジェクト統括室長兼外食事業室長。2002年、43歳でローソン代表取締役社長。2014年より現職。(撮影:遠藤素子)

「40兆円の損失」の可能性

──コロナ危機による日本経済へのインパクトをどう考えていますか。
新型コロナウイルスによって消費者の行動は大きく変わり、需要は後退しています。
緊急事態宣言は解除されたものの、コロナへの不安感から、まだ多くの人が外出を自粛しています。経済の先行きも見えず、家計に不安を感じている人も多い。
このコロナと家計への二つの不安がかけ合わさり、消費への気持ちがなえているのが、今の状況ですよね。
──そうした需要の変化に伴い、供給側も変わりそうです。