[ニューヨーク/ワシントン 19日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)の当局者2人は19日、米景気が早期に回復する可能性に一段と悲観的な見方を示し、新型コロナウイルスの封じ込めに成功しなければ失業率は再び悪化しかねないと警告した。

FRBは今月の連邦公開市場委員会(FOMC)で既に、景気が新型コロナ危機から完全に回復するには何年もかかるとの見方を示しているが、5月の雇用者数の増加や堅調な小売売上高を受けて早期回復への期待が一部で高まっていた。

ただ、当局者らはこのような期待感の高まりをけん制、拙速な経済再開に対して慎重意見を述べた。

ボストン地区連銀のローゼングレン総裁はオンラインのイベントで、「これまでのところ、米国内でウイルスの封じ込めに向けた取り組みはさほど成功していない。封じ込めができない以上、将来的に封鎖期間はさらに長引かざるを得ず、消費や投資の落ち込みや失業率の悪化をもたらす恐れがある」と語った。

ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は、自身がほんの数カ月前に期待していたよりも景気回復には時間がかかりそうだと指摘、新型コロナウイルスをすぐに抑え込むことができなければ、雇用拡大の最近の前向きな傾向もすぐに逆転する恐れがあるとした。

CBSニュースが主催したイベントで「残念ながら、わたしの基本的シナリオは全米で新型コロナ感染の第2波が到来するというもので、恐らく今秋にそうなるだろう」と明かし、「第2波が到来した場合、失業率は再び上昇する」と述べた。

<長く困難な道のり>

一方、クラリダFRB副議長は、FOXビジネスとのインタビューで、「われわれができることはまだある。われわれはさらに多くのことを行うことになるだろう」と述べた。

その上で、FRBによる米債や住宅ローン担保証券(MBS)の購入に制限はないと続けた。

パウエルFRB議長とローゼングレン総裁などは失業者の救済に一段の財政・金融支援が必要になるとの見解をこれまで示してきた。ただ、与党・共和党の一部の議員は最近の前向きな経済指標を受けて、短期的な追加財政措置の必要性を否定している。

パウエル議長はオハイオ州の地元関係者が主催した19日のビデオ会議で、米経済が新型コロナウイルス感染拡大の影響から回復するには困難な道が待ち受けているとの考えを示した。

「米経済は立ち直るが、時間と努力が必要になる。この先は困難な道が待ち受けている」と強調。「人々が亡くなり、生活基盤が失われた。不確実性は著しく高まっている」と指摘した。