イラン 通貨価値が下落 過去最安値を記録
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中東諸国の通貨は、軒並みドルに対して下落しています。内戦中のシリアのポンドに至っては、今年に入って対ドルで3分の1以下になりました。シリアの公務員の初任給は、今や米ドルで20ドル程度、レモン1キロも買うことができず、通貨が意味を成さなくなっています。
まずいのは、中東地域の金融センターであるレバノンのポンドが実質的に急下落していることです。レバノン・ポンドは、20年前からドルと連結しているペッグ制ですが、もはや機能していません。ブラックマーケットで両替すると、レバノン・ポンドは1年前に比べて対ドルで4分の1以下に下落しています。先週だけでも対ドルで75%下落しました。
レバノンは、中東の富裕層が資産を隠匿する金融センターですが、もはや根こそぎ逃げ出しています。レバノンも政変が避けられない状態ですが、レバノンに経済的に依存しているシリアも壊滅的なことになります。
他にも、原油価格下落で公務員の給料も払えなくなったイラクなど、周辺諸国は通貨危機・経済危機に見舞われており、中東全域で政権自体が揺るぎかねません。イランは、政権自体は強固な方といえるでしょう。イランは昨年から経常赤字に転じてますからね。
ちなみに、IMFのデータに基づけば、イランの経常収支上で損益分岐点となる原油価格は79.3ドル/バレルですので、そりゃ通貨下がりますよ。イランの財政赤字は単年度で過去最高水準に達している。コロナ前からも財政赤字が恒常化し、拡大していた。
アメリカの経済制裁も当然あるが、結局こうした国債増発をイラン中央銀行(アメリカの制裁対象)が多く引き受けていることも、通貨下落の主因の1つであるインフレを助長している。「自国通貨建てだから財政赤字を増やしても問題ない」などとはとても言えない。