【プロ解説】急回復、株式市場の「裏側」で何が起きているのか

2020/6/22
コロナ後の株価がすこぶる堅調だ。
コロナウイルスの到来で、3月に記録的な暴落を続けた株価は、3月21日を底値に盛り返すと、今も堅調な伸びを見せ続けている。
新型コロナウイルスの感染者数は世界でいまだに増え続け、治療薬やワクチンはまだ完成していない上、米失業率は世界大恐慌以来の記録的な数値を記録し、さらには抗議デモも巻き起こり、実体経済はまだまだ不透明さが拭えないにもかかわらず、だ。
今の株式市場をどう捉えればいいのか。そして、ポストコロナの狙い目はどこにあるのか―—。
そこで、 NewsPicks編集部は日本株とグローバル株に精通する金融市場のプロ中のプロ2人に直撃。ゴールドマン・サックス証券副会長のキャシー松井氏、米UBS証券グローバル株式デリバティブ調査部ヘッドのスチュアート・カイザー氏だ。
プロが見たマーケットの「裏側」とは。

すごい量の「治療薬」を投入

──パンデミック後、世界では実体経済が多大なダメージを受けたにもかかわらず、株式市場は堅調に回復しています。この乖離をどう捉えていますか。
松井:いくつかの理由があります。
1つは、2008〜2009年のリーマンショック時と比べると、今回は金融システム不安、あるいは信用の収縮が、現状では、深刻な問題にはなっていないということです。
景気が一度深い不況に入ったことは事実ですけれども、直後に、アメリカ、ヨーロッパ、アジア諸国の政府が史上最高水準の景気対策や金融緩和対策を出しました。
これが2008〜2009年との一番大きな違いで、もともと金融システムそのものがダメージを受けていないことに加え、さらにリーマン時を上回る景気対策を一気に打ち出した国々が多いことが、かなり影響しています。