[17日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は17日、テレビ会議方式で実施された下院金融サービス委員会での証言で、米経済は新型コロナウイルス感染拡大で引き起こされた危機の最悪期は脱し始めているものの、一段の景気支援がなお必要との考えを示した。

この日の証言内容は16日に行った上院銀行委員会での証言と同じ。議長はFRBは米国の家計と企業を守るために「あらゆる手段」を尽くすとし、「(危機を)乗り越えたと完全に確信できるまで、FRBはアクセルペダルを踏み続ける」と述べた。

その上で「(議会として)さらにできることはあると考える議員もいるだろう」とし、「議会が現在提供している支援を尚早に縮小させれば懸念事項となる」と指摘。景気後退(リセッション)からの回復には時間がかかると想定されるため、金利は「長期間にわたり」ゼロ%近辺にとどまる必要があり、FRBは長期金利の抑制に向け債券の買い入れを継続するが、議会も役割を果たす必要があると述べた。

旅行、外食産業など、雇用回復に時間がかかると予想される部門で働く人々が住居を失うことになってはならないとし、「こうした人々が難局を乗り越えられるよう、国としての支援を模索する必要がある」と指摘。週600ドルの失業保険の追加給付について、7月の期限切れ後も何らかの形で継続する必要があるとの考えを示すと同時に、地方・州政府のほか、中小企業も支援を必要としていると述べた。

このほか、景気後退で誰もが同等に影響を受けているわけではなく、アフリカ系米国人を含むマイノリティー(少数派)が最も厳しい状況に置かれているとし、「長期的な景気拡大で格差は一部縮小したが、こうした状態を抑制、もしくは反転させられなければ、景気後退により経済格差が一段と拡大する恐れがある」と警告した。

5月に雇用と小売売上高が大きく改善したことで、一部共和党議員は早期に対応することに消極的な姿勢を表明。共和党のパトリック・マクヘンリー議員は、パウエル議長に対し「金融政策と財政政策の性質は大きく異なる。議長とFRB当局者は金融政策に注力するよう求める」と述べた。

*内容を追加しました。