【新】3万年前、人類が日本に渡った「軌跡」を僕は追った

2020/6/17
人類は3万年以上前の旧石器時代に、海を渡って日本列島へやってきた。
そこには、小さな舟を作るところに始まり、世界最大規模の海流である「黒潮」を乗り越えるという、壮絶な航海があったはずだ。それらを実際に、舟造りから追体験してみたら、何が見えてくるだろうか──
そんな壮大な研究プロジェクトが、6年の歳月を経て、2019年に完結したのをご存じだろうか。
日本の科学研究予算が他の主要国に比べ伸び悩むなか、いかにもお金のかかりそうな一大プロジェクトは、広く一般の人々から資金を募るクラウドファンディングで、実に約6000万円を集めたことでも大きな話題を呼んだ。
旧石器人は、なぜ大陸から海を越え、小さな島を目指したのか。
200km以上に及ぶ実験航海に成功したとき、その最大の謎は解けたのか?
浮かび上がったのは、3万年以上も前から、夢を抱き、緻密な計画を立て、協力し合って新天地を切り拓いてきた、人類の「根源的な姿」だった。
プロジェクトを率いた海部陽介・東京大学教授が、その真の舞台裏を語り尽くす。
海部陽介(Yosuke Kaifu) 東京大学教授。専門は人類進化学。「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」代表。1969年、東京都生まれ。東京大学理学部卒業、同大大学院博士課程中退。国立科学博物館人類史研究グループ長などを経て2020年6月から現職。化石の分析などからアジアの人類史を研究。著書に『日本人はどこから来たのか?』(文藝春秋、古代歴史文化賞受賞)、『人類がたどってきた道』(NHKブックス)。新著にプロジェクトの全貌を記した『サピエンス日本上陸 3万年前の大航海』(講談社)。

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