銀河系には36の高度な文明が存在する可能性がある ノッチンガム大学の研究

2020年6月16日 11:42

印刷

天の川の様子。

天の川の様子。[写真拡大]

 6月15日、イギリスのノッチンガム大学は、銀河系に存在するかもしれない知的生命体に関する大胆な見解を公表した。我々の銀河系には最大で36もの知的生命体が存在し、高度な文明を築き上げている可能性があるという主張を、ノッチンガム大学の研究者は行っている。

【こちらも】3年にわたる地球外文明の探索、地球から160光年以内には痕跡無し

 ただし、彼らの主張は、高度な文明からの信号をキャッチしたというものではなく、理論上の仮説である。

 地球上で人類が高度な文明を築き上げるまで、地球誕生から46億年を要し、その文明は現在までおよそ100年間継続している。この事実をベースとして、銀河系宇宙が、どこにおいても同じような性質を有していると仮定すると、およそ50億年かかって文明は築き上げられると考えられる。ただし、どこにでも50億年と言う時間さえあれば文明が誕生できるというわけではなく、文明を育むためには豊富な金属元素が存在しなければならない。

 このような仮定を銀河系全体に展開してゆくと、36の文明が存在する可能性があると彼らは主張している。この文明の存在比率は、半径1万7千光年に1個の割合に相当し、地球の隣にある高度な文明から発せられた電波をキャッチするのには、1万7千年の年月を要する計算になる。

 つまり、現在人類が築き上げた高度な文明は、誕生からたかだか100年が経過したに過ぎず、隣の知的生命体からの信号をキャッチするには圧倒的にまだ時間が足りないという計算になる。

 ところで太陽系と同じような豊富な金属元素が存在するためには、特別な条件が必要になる。それはつまり、鉄よりも重い金属元素は、超新星爆発によって作り出されるため、超新星爆発が起こった後の残骸である星間物質から形成された恒星系である必要があるのだ。

 太陽系も誕生から50億年が経過しているが、実はその元になった星間物質が形成されるには、太陽の前の世代に、恒星の一生があったわけで、50億年と言う時間さえあれば知的生命体が必ず誕生するというわけではないことに注意が必要である。しかも太陽の前の世代の恒星には、超新星爆発を起こせるだけの質量(およそ太陽質量の8倍以上)も必要である。

 今回の発表で、私たちがまだ巡り会えていない多くの知的生命体の仲間たちが、少なくとも、この銀河系に存在している可能性があることや、それにもかかわらずコンタクトがかなわない理由も、説明可能な説が示されたわけである。なお、この研究論文は近日中にAstrophysical Journalで公開される予定である。(記事:cedar3・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事