[モスクワ/ワシントン 15日 ロイター] - ロシアの裁判所は15日、元米海兵隊員のポール・ウィラン被告(50)を米国のためのスパイ行為で有罪とし、懲役16年の判決を言い渡した。これについて、ポンペオ米国務長官は、米政府は非公開の裁判による有罪判決に憤慨しており、ウィラン被告の即時釈放を望むと述べた。

米国、英国、カナダ、アイルランドのパスポートを保有するウィラン被告は2018年12月28日、結婚式に参列するためモスクワのホテルにいたところをロシアの治安当局に拘束された。

ロシア側は、ウィラン被告が機密情報の入った記録媒体を所持していたと説明。一方、同被告は、ロシア人の知人から渡された記録媒体には休暇の写真が入っていると思ったとして、無罪を主張した。

モスクワ市の裁判所に出廷した被告は、裁判は通訳なしにロシア語で行われたため、判決を理解していないと判事に訴えた。また、「偽りの裁判」と書いた紙を掲げ、トランプ米大統領、英国、カナダ、アイルランドの首脳らに「断固たる措置」を講じるよう求めた。

ウィラン被告の代理人は、判決を不服として控訴すると表明。被告の家族は声明で、ロシアの裁判所は政治的機関だとし、司法の独立性に疑問を投げ掛けた。

米国のサリバン駐ロシア大使は記者団に対し、裁判で有罪を示す証拠は出されていないと説明。判決はすでにぎくしゃくしつつある米ロ関係に良い影響を与えないが、対話は続くだろうと語った。

ウィラン被告の代理人は、被告はロシア当局に拘束された際、米国との囚人交換の対象になると伝えられたと明らかにした。