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「餃子の王将」と「日高屋」、なぜ業績に明暗?テイクアウト&デリバリー需要の獲得で大差

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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餃子の王将の店舗(「Wikipedia」より)

 中華料理チェーンの業績に明暗が分かれている。

餃子の王将」を展開する王将フードサービスは新型コロナウイルスの感染拡大の影響を最小限に抑えた一方、「日高屋」を展開するハイデイ日高は大打撃を被った。5月の既存店売上高はハイデイ日高が前年同月比52%減と大きく落ち込んだ一方、王将は11.9%減にとどまった。

 新型コロナの感染拡大に伴う外出自粛や店舗の臨時休業などで、5月だけでなく3月と4月も大幅減収の外食店が少なくない。日本フードサービス協会の調査では、3月の外食売上高(全店ベース)が17.3%減、4月が39.6%減と大きく落ち込んだ。ハイデイ日高の既存店売上高の落ち込みはこれに近く、3月が18%減、4月が50.7%減だった。一方、王将の既存店売上高は3月が3.4%減、4月が21.7%減と、それほど減収幅は大きくない。同じ中華料理チェーンで、なぜ明暗が分かれたのか。

 日高屋は多くの店舗が首都圏の主要駅の駅前や繁華街に立地している。夜遅くまで営業する店舗が大半だった。アルコールの売上高比率が高いことでも知られており、一般的な中華業態の比率が約3%といわれているなかで、日高屋は約15%と高い。昼間はビジネスパーソンや学生などが昼食でよく利用している。夜は夜食のほかに仕事帰りに「ちょい飲み」として利用する人が少なくない。新型コロナ前まではこういった人でいつも賑わっていた。

 しかし、新型コロナで状況は一変した。外出自粛や在宅勤務の広がりで日高屋が多くある駅前や繁華街から人が消えた。また、日高屋は新型コロナの感染拡大を受けて一部の店舗で閉店時間を早めたほか、店舗所在地の自治体の要請に応じるかたちで酒類の提供時間を制限せざるを得なくなった。これは夜のちょい飲み需要や飲みのあとの締めのラーメン需要が小さくない日高屋にとっては致命的だ。

 今後も、夜遅い時間帯は厳しいだろう。新型コロナの影響で消費者が昼中心の生活にシフトすることが考えられるためだ。こうしたことを見越して対策を講じる外食チェーンが出てきている。ファミリーレストラン「ガスト」などを展開するすかいらーくホールディングスは、深夜の需要減が避けられないとみて閉店時間を原則として午後11時半に早める方針を打ち出した。居酒屋大手のワタミも需要減を見込み、全店舗の1割強にあたる65店の閉店を発表している。

 ハイデイ日高も、何かしらの対策を講じることが必要だろう。もっとも、同社は新型コロナ前からの深夜の需要減少による業績低迷の打開策として時短営業を進めるなどしてきたため、この面での対策は限られている。

 近年は働き方改革の影響で、遅くまで仕事をする人が減っている。日高屋に寄らずに帰る人も増えていった。その対策として時短営業を進めてきたのだが、それに伴い業績も低迷するようになった。20年2月期の既存店売上高は前期比1.8%減とマイナス成長だ。20年2月期単独決算は売上高が422億円で前期比0.8%増と伸び悩み、営業利益は40億円で同13.4%減と大幅に減った。以前は2桁の増収率が珍しくなく、営業利益は毎年伸びていたので明らかに失速している。この状況を打開するには時短営業以外の施策も必要だろう。

王将がダメージを抑えられたワケ

 このように、ハイデイ日高は新型コロナの影響で大幅減収となり苦境が続いている。一方、王将は減収ではあるものの、軽微で済んでいる。それはなぜか。

 王将はテイクアウトとデリバリーを強化してきたことが功を奏した。昨年4月にテイクアウト用の冷やし中華を発売したほか、テイクアウト用の生餃子のセールを積極的に実施したり、テイクアウト用の餃子のタレを昨年8月からリニューアルして販売したりしている。今年3月からは電子レンジでごはんとおかずを一度に温められる新しい容器を使ったテイクアウト用の「レンチンシリーズ」の販売を始めた。これにより新たにラーメンのテイクアウトを可能にした。また、新型コロナの感染拡大防止のための学校の休校が広がったことから、食事支援を目的に3月から5月までテイクアウト用の子ども向け弁当を販売している。

 スマートフォンでテイクアウト用の商品を注文・事前決済できるシステム「EPARK」の導入も進めてきた。同システムは現在、全国全店舗の7割にあたる約530店に対応している。

 デリバリーできる店舗も拡充している。デリバリーは17年にテスト導入し、その後、対応店舗を拡大してきた。5月25日時点で、約200店で実施している。

 こうした施策が功を奏し、20年3月期はテイクアウトの売上高比率が高まっている。上期(19年4~9月)は16.6%だったが、下期(19年10月~20年3月)は19.3%に拡大した。4月も好調でテイクアウト売上高は前年同月比1.9倍に増え、同比率は4割に拡大したという。5月はテイクアウト売上高が前年同月比2.2倍に増えている。

 王将はテイクアウトとデリバリーを強化したことが功を奏し、売り上げの落ち込みを抑えることができた。

日高屋と王将で明暗が分かれた理由

 一方、日高屋もテイクアウトとデリバリーを強化している。テイクアウトは王将と同じくEPARKを活用し、全店の8割にあたる約320店で対応している。また、同様のサービス「LINEポケオ」を利用して約200店でテイクアウトができる。

 日高屋はこのように対策を講じてきている。ただ、日高屋は王将と比べるとテイクアウトとデリバリーの需要が限定的といえる。王将はテイクアウトに適さないイメージが強いラーメンも扱う一方で、テイクアウトしやすい餃子やチャーハンなど非ラーメンが充実していて、ラーメン店というよりは中華料理店の性格が強い。そのため、テイクアウトを伸ばしやすいといえる。一方、日高屋は非ラーメンも扱うが、税込み390円と圧倒的に低価格のラーメンを売りとしており、ラーメン店の性格が強い。そのため、王将と比べるとテイクアウトを伸ばしにくいといえる。

 立地の影響も大きいだろう。王将は全国的に展開し、駅前や繁華街のほかに郊外ロードサイドにも多く出店している。一方、日高屋は首都圏に集中的に出店し、駅前と繁華街での立地が大半だ。このように両者は立地が大きく異なる。そうしたなか、新型コロナに伴う外出自粛で街から人が消えたが、その影響は地方よりも都市部、特に首都圏に大きく出た。また、郊外ロードサイドよりも駅前や繁華街のほうが、人は多く消えた。こうした外出する人の減少の影響が大きい場所に日高屋は多くある。これによる影響があまりに大きく、テイクアウト需要の増加では補いきれなかったといえる。

 こうして日高屋と王将は明暗が分かれてしまった。こうした違いが今後、どのように影響するのかを注視していきたい。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

佐藤昌司/店舗経営コンサルタント

佐藤昌司/店舗経営コンサルタント

店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に勤務。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。

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