【発見】経済学的に正しい「コロナ社会の暮らし方」

2020/6/13
人は必ずしも、効率やお金ばかりを重視した行動を取るわけではない。一見、不合理な人間行動を「義理と人情」というキーワードで読み解く、気鋭の経済学者・山村英司氏(『義理と人情の経済学』/東洋経済新報社)。
インタビュー第2話では、最新のデータを分析した結果から見えてきた、「コロナ社会の“望ましい”暮らし方」を考察する。
【新】人生のパフォーマンスを高める「人情経済学」の教え
利他的な人ほど「外出しない」理由
──今現在、「コロナ禍」という異常事態を生き延びるための新しい考え方や新しい暮らし方といったものを、皆が懸命に模索しています。その中で、「人情経済学」をどのように生かすことができると思いますか?
山村 コロナが広まったことで、より「義理人情」の価値が高まっていくのではないかと私は見ています。
今回私は、3月中旬から「コロナ禍での人間行動の変容」を調査しています。緊急事態宣言が出る前から現在に至るまで、短期間で人の意識が大きく変わっていく中での、行動変化の在り方を調べているのです。
具体的には、3月13日を第1回として、約2週間おきにこれまで計4回の調査を行いました。各回、日本全国から4000人近くの回答が集まっており、延べ1万6000人分のデータになります。また、近日中に5回目の調査を実施する予定です。
緊急事態宣言家の東京・渋谷(写真:アフロ)
この調査からわかったことはいろいろあるのですが、「人情経済学」に最も関係のある発見としては、「“外出しない”という行動が、利他性と密接に関係している」ということが挙げられます。
調査の結果、利他的な人ほど、コロナが著しく拡散した時期に「外出を自粛」していることがわかりました。
一方で、利他的な人の「手洗い行動」にはまったく変化がありませんでした。考えてみれば、手洗いというのは他者とは直接関係のない、自分のための行動です。
ウイルスが流行している状況で、「自分は若くて基礎疾患もないから、感染しても大事にはならない。だから外出しても大丈夫」という思考回路になるのか、「自分が感染することで、他者にうつしてウイルスを広めてしまうかもしれない」と考えるのか。
前者を選択した結果、はからずもウイルスを広めることになってしまえば、仮に自分の具合は悪くならなかったとしても、もっと大きな形で影響が跳ね返ってくるおそれがあります。
するとやはり「合理的に考えれば、利他的に行動するのがよいだろう」という結論になります。
コロナが変えた「他者との距離感」
コロナ禍をどのように制御していくかということの最大のポイントは、結局は「他者の存在を意識できるかどうか」という点にあると私は考えています。