うつ病の発症 ウイルスが持つ遺伝子が関与している可能性
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ヒトに感染するヘルペスウイルスには様々な種類があり、口唇ヘルペスや帯状疱疹を起こしたりするウイルスが含まれます。今回取り上げられているHHV-6は、このヘルペスウイルスの1つですが、口唇ヘルペスや帯状疱疹のヘルペスウイルスとは別のものです。
HHV-6が問題になるのは小児が多いです。高熱と全身の発疹が出る、「突発性発疹」という病気の原因として知られていて、子供をもつ方であれば経験されたことがあるかもしれません。子供のうちに感染することがほとんどですが、大人になっても潜伏したウイルスが再び活性化し、様々な病気と関連することがわかってきていて、近年注目されています。
この研究だけでうつ病での関連が断定できるわけではありませんが、精神疾患と感染症との関連というのはこれまでにあまりない視点で、興味深いです。単一因子であるとは考えにくく、環境因子もからんでいるはずで、
たとえば、
うつのきっかけとなるような同じ経験をしても、うつ病になるならないにSITH-1が関与している、という可能性はあるかと思います。
予防への応用は難しいかもですが、
治療になんらか活かされることを期待します。
あと、産後うつにもこれが関与しているのかとても気になります。HHV6はほぼすべての人が感染するウイルスで、体内に潜伏感染しています。
以前は2歳までに8割のひとがなんらかの形で感染するという報告されていました(※)(最近は、2歳以降での初回の発症も増えてきているようです)。
※New England Journal of Medicine 2005; 352(8): 768-76.
日本語訳 https://pediatric-allergy.com/2018/04/10/primary-human-herpesvirus-6-infection/
感染予防…という観点では難しそうですが、脳への直接の関与をすることがあるというのは興味深いです。
とはいえ、多くの病気がひとつの原因で発症するのではなく、たとえば何段階かを経て発症することが分かっています。
たとえば、がんの『2ヒットセオリー』が有名ですね。
https://www.thermofisher.com/blog/learning-at-the-bench/cancer1/#2
そういう意味でも、発症のきっかけとしては興味深い点であることは確かですが、今回のうつ病の発症機転に関してもHHV6だけで説明をするのは難しいでしょう。
そのHitのうちのひとつとして捉えるとわかりやすいと思います。