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【上田岳弘】僕を形作ってきた読書による教養
2020/7/3
芥川賞作家の上田岳弘氏は、実は経営者でもある。大学卒業後、法人向けソリューションメーカーの立ち上げに参加し、その後役員となった。言うまでもなく、作家も経営者も片手間にできる仕事ではない。
作家として食べていけるようになったいまでも、上田氏が会社経営から退かない理由は何か。そもそも、なぜ兼業が可能なのか。その生き方と仕事術を聞いた。
SF的と評されることの多い作風だが、コロナ後の世界をどう予測しているのか、作家の発想と世界観にも迫る。(全7回)
私淑する文豪たち
正直に言うと、僕は小説が好きだったから小説家になろうと思ったわけではありません。
以前も言ったように、字もろくに読めない5歳頃から将来は小説家になると思っていたので、小説を読むようになったのは、小説家になるための勉強という意味が大きかった。
ですから読書は修行に近い感じだったのですが、逆に無理にでもそうやって読んでいくことで、見えてくるものはありました。
シェイクスピアには現代にも通じるポップさがあるし、夏目漱石の文体や小説の構成の実験性には「明治時代にここまでやっていたんだ」という驚きもあります。
ほかにも海外の文学はたくさん読みました。
僕は日本史と世界史のどちらかを選べと言われたら世界史を選ぶタイプの人間です。だからカフカやトーマス・マンなど、だれでも知っているような古典を片っ端から読みました。
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この連載について
ビジネスや働き方が多様化し、正解がない時代に、自分を信じて一心に仕事をする人たちがいる。そこにあるのは独自の「哲学」だ。仕事人のヒストリーをたどり、道標となった哲学を浮き彫りにしていく。
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