[ニューヨーク 5日 ロイター] - 世界経済が新型コロナウイルス流行の最悪シナリオを回避したとの期待から米国債に売りがかさみ、イールドカーブが3月以来で最もスティープ(傾斜)化した水準となった。

投資家は連邦準備理事会(FRB)がこうした楽観的な見方に同意するかどうか見極めようとしている。10日まで開かれる連邦公開市場委員会(FOMC)は4月以来の開催。パウエルFRB議長は4月のFOMC後、国内景気は経済閉鎖の負担を1年以上にわたって感じる可能性があると述べていた。

また、5日に公表された米雇用統計が予想外に好調だったことで国債が売られ、10年債利回りは3月前半以来の高水準となった。

ソシエテ・ジェネラルの米金利戦略部門責任者、スバドラ・ラジャッパ氏は「過去数週間における債券市場での売りは正当化されそうだ」と語る。

FRBは追加の債券買い入れプログラム、もしくはイールドカーブ・コントロール措置を導入する可能性がある一方、ファンドマネジャーはイールドカーブへの介入を正当化するには利回りが大幅に上昇する必要があるとの見方を示す。それよりむしろ、FRBが新型コロナ危機の最悪局面が去ったとみているヒントを見極めようとしている。

イートン・バンスのグローバルインカム部門共同ディレクター兼ポートフォリオマネジャー、エリック・スタイン氏は「たとえ実体経済がかなり低迷しているとしても、債券発行と市場改善の状況が非常に力強い中、新型コロナショック前の水準までとはいかなくても、市場は機能している」と述べた。

そのため、同氏は景気回復が利回り上昇を支持できるとFRBが信じているサインを求めている。「特に回復を背景とした緩慢な上昇はFRBにとって問題ないだろうが、動きが急激で回復状況を不安定にするようなら懸念理由になる」とした。

オスターワイス・キャピタル・マネジメントの筆頭ポートフォリオマネジャー、エディー・バタル氏は、ニューヨーク市地域といった新型コロナのホットスポットで感染・死亡率が低下していると指摘し、「われわれは新型コロナの最悪の結末を織り込まなくてもよくなった。新型コロナのリスクを巡るセンチメントは一変した」と語る。

その上で同氏は、社債や住宅ローン担保証券(MBS)に買いを入れ、米国債を避けているという。米国債については現在の利回りでは「投資価値は全くない」とした。