[30日 ロイター] - 米ツイッター<TWTR.N>は5月、投稿された内容が疑わしい場合に警告する「ファクトチェック」ラベル制度を導入し、誤情報や真偽の怪しい情報についてユーザーに注意喚起する新たな取り組みを進めている。

26日にはトランプ米大統領による郵送投票に関する投稿に警告を表示。制度導入以来、警告ラベルが付いたツイートは数千件に達し、そのほとんどを新型コロナウイルス関連が占めた。[nL4N2D90CL][nL4N2DB2TQ]

ツイッターの広報担当者は30日、警告ラベル表示作業のために新たな人員の採用は必要ないとの見通しを示した。フェイスブック<FB.O>やグーグル<GOOGL.O>のように、新型ウイルス関連の投稿の真偽を確認するために外部の独立機関と提携することもないと述べた。

ソーシャルメディア運営会社は2016年の米大統領選にロシアが介入したとの疑惑が浮上して以来、急速に広がる偽情報や不正コンテンツの監視方法を巡り厳しい視線にさらされている。

真偽確認を行う団体はツイッターの警告ラベル導入を歓迎しているが、判定方法や根拠について透明性を高めるよう求めている。

こうした批判についてツイッターのジャック・ドーシー最高経営責任者(CEO)は29日、真偽の確認は「オープンソースで、誰でも検証できるものでなければならない」と同意した。また別の投稿で、ツイッターにとっては透明性をさらに高めることが「極めて重要だ」との認識を示した。

郵送投票に関するトランプ氏の投稿に警告ラベルを表示したツイッターの取り組みは、真偽の確認を外部の提携機関に任せたり、政治家の投稿をレビューから除外するなどして中立性を表明しているフェイスブックなど他のソーシャルメディア大手と一線を画している。

真偽確認サイト「ポリティファクト」のエグゼクティブディレクター、アーロン・シャロックマン氏は「真偽の確認というのはある程度主観的だ。チェックする投稿を選び、評価する際に主観が入る」と述べ、ツイッターの仕組みは不透明だと指摘した。

ツイッターの広報担当者は、警告ラベルなどの作業を行っているのは信用・安全部門だと明かしたが、同部門の規模については明らかにするのを拒否した。

ツイッターは29日、米ミネソタ州で黒人容疑者が逮捕時に白人警官から暴行されて死亡した事件でも、警官隊によるデモ隊への発砲を容認するようなトランプ氏の投稿に再び警告ラベルを表示。一方、フェイスブックはこの投稿に対して対応を取らなかった。

ツイッターの広報担当者によると、この警告ラベルについて判断したのはショーン・エジェット法律顧問や信用・安全問題担当のバイスプレジデント、デル・ハーベイ氏など経営幹部で構成されるチームで、表示を行う前にドーシーCEOにも決定が伝えられた。

ツイッターのキュレーションチームには元記者などが参加しており、争点となっている課題に関する投稿を集め、要約をまとめて表示している。通常は投稿の内容をトレンド、ニュース、エンタメ、スポーツなどカテゴリーごとにまとめる。

ツイッターは経営幹部が以前、言論の自由を強く支持する立場だと述べていたが、悪質な投稿が急増したことから、この数年はコンテンツポリシーを厳格化している。ドーシーCEOは2016年の米大統領選後に学界や報道関係幹部と私的な懇談を行った。この会合に参加した元ニューヨーク・タイムズ編集者のビル・ケラー氏は偽情報や不正利用に対するツイッターの取り組みについて「他社より一歩抜きん出ている」と評した。

その後、ツイッターは取り組みのペースが遅いとの批判を受けたが、昨年から対応を加速。今年3月にはトランプ氏の関係者が投稿した民主党のバイデン前副大統領の動画に「改変されたメディア」と警告を表示した。

ツイッターのコンテンツチェック部隊は約1500人と比較的小規模。フェイスブックは約3万5000人、うち1万5000人が問題のありそうなコンテンツを監視するモデレーターで、その大半は外部契約者だ。ただしツイッターの1日当たりユーザー数は1億6600万人と、フェイスブックの24億人を大幅に下回っている。

トランプ氏の投稿に対する対応でツイッターと距離を取ったフェイスブックも、物議を醸すコンテンツについて判断するために独立した監視委員会を設立している。

ツイッターによると、今年1-6月に同社のコンテンツ規則への違反で対応を取ったアカウントは125万4226件。コンテンツの問題では外部機関と協力しているが、真偽確認機関からは新たな取り組みについてツイッターとの話し合いを増やしたいとの声も聞かれた。

真偽確認を手掛けるスノプスのバイスプレジデント、ビニー・グリーン氏によると、同社は17年以来、ツイッターに提携関係を結ぶよう求めているが、反応は鈍いという。

(Elizabeth Culliford記者、Katie Paul記者)

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