[香港/ロンドン 4日 ロイター] - 中国が制定方針を採択した「香港国家安全法」に対し、英金融大手のHSBCホールディングス<HSBA.L>とスタンダード・チャータード(スタンチャート)<STAN.L>が支持を表明したことを受け、両行を批判する声が相次いでいる。

英下院・外交委員会のトム・タジェンダット委員長(保守党)はツイッターで「独裁国家による自由の弾圧と法規範の弱体化に対し、HSBCとスタンチャートはなぜ支持することを選んだのだろうか」と非難。

米フロリダ州選出のリック・スコット上院議員はツイッターで、HSBCは「人権よりも利益を選んだ」と述べた。

また、HSBCの顧客という人々もソーシャルメディアで口座を閉鎖すると投稿した。

HSBCとスタンチャートはコメントを控えた。

HSBC株主であるキルター・シェビオットの株式アナリスト、ウィル・ハウレット氏は香港国家安全法などにより「HSBCへの投資が陰りを見せている」と指摘。HSBCの株価はロンドン市場で1%超下落。香港上場株は序盤の上げを縮小した。スタンチャートの株価はロンドン市場で横ばいだった。

一方、HSBCとスタンチャートの従業員は、香港国家安全法に対する支持はビジネス上必要だった可能性があると言及。「HSBCの業務を守るため取らざるを得なかった。他の銀行が支持に追随しても驚きではない」(香港在住のHSBC従業員)としたほか、「香港の商業セクターは間違いなく中国政府の影響を受けている」(スタンチャート従業員)と語った。