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米イーライリリー、世界初の新型コロナ抗体薬の治験開始

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    Stanford大学 博士研究員(免疫学)

    抗体屋として背景解説をいたします。本気で話したら2時間以上講義ができそう。

    私たちの体には数多くの種類のB細胞が事前に準備されており感染に備えています。1種類のB細胞は1種類の抗体を産生し、特定の1種類のターゲット(抗原)に結合します①。私たちが新型コロナウイルスに感染した場合、これを認識する複数の種類のB細胞クローンが大増殖します②。つまり血液に含まれる新型コロナウイルスに対する抗体は混じり気がある・”ポリクローナル"なわけです。
    山田先生のコメントに登場する血漿療法は、ポリクローナル抗体を投与していることになります。1人の人間から取れる血漿の量は限りがあること、ヒトによって持つ抗体の質と量にバラツキが出る短所があります。

    一方の”モノクローナル抗体”は単一の種類の抗体です。つまり1種類のB細胞由来の抗体です。そして抗体の設計図(遺伝子配列)さえ手に入れば大量生産が可能で、ロット差問題は大幅に解消されるわけです。薬の効き目も調べやすい。Lillyと組んだカナダの抗体会社AbCelleraは動き出しが本当に早かった!アメリカからCOVID-19回復患者の血液を入手するや否や、1週間足らずで500万個のB細胞をスクリーニングしました。これは超高額の最先端の機械がないとできません。余談ですが私はネズミを使ってモノクローナル抗体を取る仕事をしています、主に手作業でやる伝統芸能型で作っているのでブルドーザー型の開発を体験してみたいなと憧れも持っています。

    AbCelleraはこの中から500種類の抗体をコードする遺伝子情報を入手、プレスリリースでは当時世界で最も大きいパネルだと誇らしげに発表しています③。これに目をつけたLillyは提携を投げかけ、開発、製造、流通を担うことになったわけです。選び抜かれたエリート抗体の治験がこれからはじまります④。
    もっと書きたいことが山ほどあるのですが、、文字数。抗体は本当に面白い。

    理解を促す下記の記事もあわせてどうぞ。
    https://newspicks.com/news/4838517
    https://newspicks.com/news/4826314
    https://investor.lilly.com/node/42836/pdf
    https://investor.lilly.com/node/43276/pdf


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    マウントサイナイ大学 アシスタントプロフェッサー

    「モノクローナル抗体」と呼ばれる製剤が、満を持して登場です。簡単に背景をご説明します。

    新型コロナウイルスに感染した患者さんでは、約2週間の時を経て、この「抗体」ができることが知られています。この「抗体」は検査、予防、治療の3つの場面で活躍しています。

    まず、この抗体を血液検査で検出するのが抗体検査です。感染症を克服する鍵の一つで、ここでは感染して治った証として用いられています。

    また、ウイルスを模倣したものを身体に投与して、あらかじめこの抗体を身体に作らせ感染を防ごうというのが予防接種です。実際には抗体が全てではないのですが、抗体ができることも大切な要素です。実際に、これまでの予防接種の研究では、ワクチン投与後に抗体ができることを確認して、成功と判断されています。

    加えて、治療としては、すでに感染した患者さんの血液を採取し、その液体成分を抽出して、新たな感染者に投与する血漿療法も知られており、これもまた治った患者さんの抗体などを利用して治療をしようという発想でした。しかし、この治療を行うには多数の感染者からの献血が必要で、どうしてもスケールできません。

    そこで登場したのがこのモノクローナル抗体。こちらはウイルスの駆除に有用な抗体を身体の外であらかじめ大量に製造しておき、治療薬として外から投与しようという発想のものです。こちらであれば血漿療法と異なりスケールでき、たくさんの患者さんに使うことが可能です。

    先んじてnatureに試験管レベルの研究結果が報告され、劇的な効果を発揮していたことから、強い期待を持たれてきた薬剤です。

    もう一点、このモノクローナル抗体製剤は、血液がんや自己免疫疾患と呼ばれるような病気でも用いられている技術ですが、比較的安全性が高いのも特徴で、この安全性の側面からも期待感の強い製剤です。

    まずはfirst-in-human、はじめてのヒトへの投与試験を合格できるかですが、成功するための要素を取り揃えてきた製剤だけに、なんとかうまく進んでほしいと思います。


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    東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 小児科医・アレルギー科医・医学博士

    新型コロナウイルスに対するモノクローナル抗体の治療に関しての話題ですね。
    モノクローナル抗体と感染症に関しては、小児科医にとっては馴染みのあるテーマです。

    というのも、小児に多く重症化しやすいRSウイルスに対するモノクローナル抗体は、すでに実用化されているからです。

    RSウイルスは、2歳までにほぼ全員がかるコモンなウイルスですが、一部の方は大きく悪化することがわかっています。
    https://news.yahoo.co.jp/byline/horimukaikenta/20190909-00141727/

    シナジスといわれるモノクローナル抗体は、そのRSウイルスに対し、悪化する可能性が高い未熟児に『予防的に』使用されます。効果は長く持たないために、1ヶ月ごとに使用しなければなりません。

    ただし、非常に高価であるため、予防的な使用条件や期間には条件が定められています。

    おそらく報道にある新型コロナに対するモノクローナル抗体も、相当に高価になることが予想されますが、有効性は期待できると思います。


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