スペイン、ベーシックインカムを承認 コロナによる貧困に対応
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一定の所得に満たない世帯に対する給付ですから、厳密な意味でのベーシックインカムとは制度が異なります。
しかしながら、給付対象が限定されるとはいえ、財政状態が非常に厳しいスペインがこうした措置を取ることに対し、財政拡張にシビアなスタンスを持つ欧州委員会がゴーサインを出した意味を考えるべきでしょう。
つまり貧困層に何らかの所得救済措置をせざるを得ないほど、コロナ禍はスペイン社会に甚大な悪影響を与えたわけです。素晴らしい対応。米国では各地で暴動が起こっていますが、もとは被害者の方がコンビニで偽札を使ったところ、警察に逮捕されました。これは警察による殺人事件であり人種差別問題ですが、貧困と貧富の差の問題でもあります。食品の購入も厳しい貧困層に対して何のセーフティーネットもなく、最低限の医療保険さえ購入できず、一旦病気をしたら本当にホームレスになります。株価が上昇しているなかで、大都市ではホームレスが急増しています。
元民主党大統領候補アンドリューヤン氏が、自身の非営利団体を通して、２０名に月５００ドルを５年間支払う新たなベーシックインカム（UBI）試験を開始ました。カリフォルニア州のストックトン市でも同じような試験が行われています。UBIが人の生活にどのような影響を与えるのかという点を検証する必要があるからです。
ちなみに、UBIは社会主義ではありません。社会主義は極端な累進課税制度ですが、UBIでは今の資本主義と融合することできます。お金持ちになりたければ上限はありませんが、セーフティーネットがしっかりしているという事です。重要な事は、UBIだけではまともな生活ができないので、働くインセンティブは残りますが、突然の事故や病気で失業した場合でも、生きていけるという点です。そして職業の選択です。SFやロサンゼルスでは家賃が高すぎて、現実的に職業を選ぶこともできません。例えば、新任の学校の先生の給料のうち８０％が家賃という調査が出ています。先生になりたくてもなれないわけです。
今回のコロナでは、短期ではありますが、失業保険や一時金で、実質的なUBIが行われました。金額が大きいのでこれを続けることはできませんが、UBIの必要性をより鮮明にしたと思います。そして今回人種差別が疑われている警察官による殺人が引き金となり暴動・略奪となりました。個人経営のお店までも被害にあっていますが、今のような貧富の差が極限状態になっていなければ、ここまで酷い状況になっていなかったはずです。人種差別と貧困問題は別ですが、生活の安定した人が、リスクを犯して危ない暴動に参加して略奪を犯すことはしないと思います。
UBIについては以下でもコメントしました。
https://newspicks.com/news/4740957?ref=user_952336これは日本でいう生活保障みたいなものですね。国民全員に配るユニバーサルベーシックインカムとは全く違う。先進国ではこのくらいの保障当たり前と日本人は思ってしまうけど、多くの国はそうなってない。成長、革新という意味では落ちこぼれの日本だけど、安心、安全という意味では優等生。
政府によると、この措置で約85万世帯、合計230万人が恩恵を受け、うち3割が未成年の見通し。来月に約10万世帯への支給が始まるという。同制度の費用は年間30億ユーロ（約3600億円）と推計されている。
