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いまのところ、長期不況が起こる証拠はないと見ています。
このスランプが前回みたいなものになると見込んでいる人は、私には「ひとつ前の戦争を戦っている」ようにしか見えません。
right now I don’t see the case for a multiyear depression. People expecting this slump to look like the last one seem to me to be fighting the last war.
———-
最後の文章↑です。
けして楽観視しているわけではなく、いまのところ長引くという証拠が出ていないという事実を述べているに過ぎないと感じました。
また、今回のショックは、前回の債務過多かつ複雑で把握できていなかったことによる金融危機と違うということもその通りだと考えます。
大事なのは、悲観的な見方が連鎖することで、金融引き締めがさらなる破綻を煽り、整理は以前よりされたもののなお複雑に入り組んでいるデリバティブに派生するような状況を作らないことだと思います。
しかし、先に引き上げた方が自分は守れる、全体最適より自己防衛を選択してしまう囚人のジレンマが懸念です。
今のところ、政府、中央銀行が一体となって、全員に大盤振る舞いしていることで保たれているように見えますし、収束すれば問題ないと考えてます。しかし、この機会に選別もしておこうという気持ちが入ってくると怪しくなってくるかもしれません。
・Paul Krugman Is Pretty Upbeat About the Economy(Bloomberg 2020年5月27日)
https://www.bloomberg.com/opinion/articles/2020-05-27/paul-krugman-is-pretty-upbeat-about-coronavirus-economic-recovery
は、分かりやすかった。チェンさん、ありがと。
しかし、オイルショックの数十倍のインパクトがあった石油需要ショックとそれに続く供給ショック、リーマンショックの倍のインパクトがある自動車産業のショックの影響は小さくはないと思います
今回は、政府要請による需要側と供給側の規制によるものなので、ツール的な分析は可能でも、従来の経済モデルの枠組みでは全体を捉えることはなかなか難しそうですね。何を従属変数とすべきなのかの前提がぐちゃぐちゃになってます。金利は上がるのか否か。インフレになるのか否か。セクター毎にバランスが違いますし。
供給ショックか需要ショックかの論争もありましたが、学術的に興味深いと言えなくはないものの、まるで複素数の正負を判定しているかのようで、私には不毛に思えてしまいます。
新型コロナウイルス経済ショックのマクロ的位置づけ
(1)マクロモデルによる概観
https://www.nri.com/jp/keyword/proposal/20200401
新型コロナウイルス感染に関する経済学研究の概説
https://newspicks.com/news/4808724/
コロナ危機は供給サイドショック、需要刺激策は当面不要
https://kinzai-online.jp/node/6324
というか、一次産業以外は本来的には供給者ではない気がするけど。変換はしてるけど。
いろいろな新しい懸念点はあるものの、2008年型(デット過剰による金融危機)ではなく1980年型(金融引き締めによる需要減)に近く、それゆえに2008年つまりリーマンショックの時よりは長引かないだろうとの見通しを立てています。
何故なら、それらの方々は「過去の事例やデータを元に、それに当てはめる」という演繹的な推論が得意というか、学術的には、それしか認められないからです。
今の時代は「これまでにはなかったこと」が多いので、それに過去の事例やデータを当てはめても、なかなか当たりません。
過去の事例を見てみればわかりますが、学者やエンジニアが未来世界を言い当てた例は、ほとんどありません。一番言い当てているのはSF作家です。
未来予測は、過去のように演繹的な手法では無理で、機能法的な推論で導くべきだと考えているので、そうしています。
従って、このクーリエ・ジャポンの他の方々の記事も、個人的には、あまり参考にならないと考えています。あくまで私見です。
※個人的な見解であり、所属する会社、組織とは全く関係ありません