米ミネソタの黒人暴行死 白人元警官を訴追 抗議デモ収束せず

 米ミネアポリス近郊で黒人男性が白人警官に暴行され死亡した事件を巡り、抗議する人々=29日、ニューヨーク(ロイター)
 米ミネアポリス近郊で黒人男性が白人警官に暴行され死亡した事件を巡り、抗議する人々=29日、ニューヨーク(ロイター)

 【ニューヨーク=上塚真由】米中西部ミネソタ州ミネアポリス市近郊で黒人男性、ジョージ・フロイドさん(46)が拘束時に暴行を受け、後に死亡した事件で、地元の捜査当局は29日、免職となった白人の元警官を殺人などの容疑で訴追したと発表した。現場に居合わせた他の3人の元警官(いずれも免職)についても捜査を進めている。

 事件では、フロイドさんが拘束時に「息ができない」と訴えた動画がインターネット上で拡散。黒人への人種差別の一環として抗議活動が始まり、一部のデモ隊が暴徒化している。トランプ大統領は29日、ホワイトハウスでの会見で、抗議は平和裏に行われるべきだとし、「無法な無政府状態になることを許すわけにはいかない」と訴えた。

 訴追された元警官は、デレク・ショービン容疑者(44)。捜査資料によると、ショービン容疑者は、偽造紙幣使用の疑いで取り押さえたフロイドさんを8分46秒にわたって膝で首を地面に押し付けた。このうち2分53秒間はフロイドさんは無反応だったという。

 捜査当局は29日の会見で、警官の暴行事件の捜査は通常「9カ月~1年かかる」と説明。今回は動画や目撃証言、検視結果など「十分な証拠」を得て、早期の訴追に踏み切ったとした。

 ただ、事態は収束する気配はなく、米メディアによると、29日までに少なくとも9州で抗議活動が行われた。南部ケンタッキー州では黒人女性をめぐる別の事件の抗議デモが暴徒化、7人が撃たれて1人が重体となった。

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