[ワシントン 29日 ロイター] - 米商務省が29日発表した4月の個人消費支出(季節調整済み)は前月比13.6%減と、1959年の統計開始以降で最大の落ち込みとなった。第2・四半期の米経済成長がグレート・ディプレッション(大恐慌)以来最大の縮小となる可能性が示唆され、米経済が新型コロナウイルス感染拡大による被害から立ち直るのに何年もかかる恐れがあることが改めて示された。

ロイターがまとめたアナリスト予想は12.6%減だった。3月は6.9%減。2カ月連続で過去最大の落ち込みを記録した。

4月は歯科医院の閉鎖に加え、新型コロナウイルス感染者の治療増加を背景に急ぎではない手術や緊急外来の受診が延期されたことで医療費が減少。宅配や店頭での受け取りのみとなったレストランのほか、ホテルなどでの支出も減った。食品・飲料品への支出も減少した。

変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア個人消費支出(PCE)価格指数は前月比0.4%低下と、2001年9月以来の大幅な落ち込みだった。3月は変わらずだった。

前年比のコアPCE価格指数は1.0%上昇。3月の1.7%上昇から鈍化し、伸び率は10年12月以降で最小だった。PCEコアの前年同月比は米連邦準備理事会(FRB)が物価の目安としている。

キャピタル・エコノミクスのシニア米国エコノミスト、アンドリュー・ハンター氏は、コアPCE価格指数の前月比での低下について、「一部のサービス価格の急落を反映したもので、日本型のデフレが米国で広がっていることを示すものではない」と述べた。

個人所得は10.5%増と過去最大の伸びとなった。新型コロナ対策として1人当たり1200ドルの現金が支給されたほか、失業給付が寄与した。3月は2.2%減少だった。4月の賃金は8.0%低下。新型ウイルス感染拡大抑制に向け企業が営業停止を余儀なくされたことが重しとなった。

一方、貯蓄は4兆ドルに急増し、過去最高を更新。貯蓄率も33%と過去最高を記録した。

FHN(ニューヨーク)の首席エコノミスト、クリス・ロー氏は「貯蓄率の上昇は、(景気回復の)機会になると同時に、警告も発している」と指摘。「大きな問題もなく経済活動が迅速に再開されれば、こうした貯蓄は下半期に相当な消費余力になる。一方、経済活動再開に時間がかかった場合、向こう数カ月間の生活費に充てられる」と述べた。