トランプ氏、SNS規制強化へ大統領令 投稿監視けん制
【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領は28日、ツイッターなどのSNS(交流サイト)の規制強化に向けた大統領令に署名した。SNS運営企業が政治的理由などから投稿を制限したり、削除したりした場合に、利用者らが企業に法的責任を問えるようにする案を検討する。SNS企業による利用者の監視をけん制する狙いがある。ただ実効性は不透明なうえ、言論の自由を侵害するとみなされて、政府に対する訴訟が起きる公算が大きい。
トランプ氏は同日、ホワイトハウスで記者団に対し、SNS企業を念頭に「最大の脅威の一つから言論の自由を守るために我々はここにいる」と強調した。ツイッターがトランプ氏の投稿に事実誤認の疑いがあるとして注意喚起したことに関し「政治的行動だ」と主張し、トランプ氏の信頼をおとしめるための工作活動だとの見方を示した。
米でSNSでの投稿を巡っては、「通信品位法」でSNS企業による不適切な投稿の閲覧制限や削除など内容を精査する権限を付与している。投稿削除などで利用者から訴訟を起こされた場合も法的責任を問われることがないよう企業は原則保護されている。
トランプ氏が今回署名した大統領令では、こうした免責の対象を狭めることを意図している。SNS企業に対する訴訟を起こしやすい環境をつくり、利用者の投稿や活動に対する介入を抑える狙いがある。
ただ大統領令だけでは通信品位法を覆すことはできず、トランプ氏が期待するような実効性が担保できるかは不明だ。トランプ氏も抜本的な制度の見直しには議会による新たな立法措置が必要だと認め、議会に規制強化に協力するよう求めていくと説明しているが、民主党の協力を得るのも容易ではない。