NY株反落、147ドル安 米中対立の激化を懸念
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この数日間の流れを受けて、市場は寄り付きから買い先行で始まったものの、くすぶっていた米中対立激化への懸念から最終的には下落して引けました。
先週金曜日からの中国全人代で香港の反体制活動を厳しく取り締まる「香港国家安全法」が可決しました。前日からトランプ大統領は「国家安全法」制定に対して、対抗措置の実施を表明しており、米中関係緊張が再び長期化する可能性が出てきました。詳細はトランプ大統領が記者会見を金曜日に行うと発表しました。米国が中国の個人や企業に向け幅広い制裁を課することになれば、かなり切実な問題となります。その背景はやはり、11月の米国大統領選に向けて、トランプ大統領は強いアメリカの姿勢を国民にアピールする必要があるからです。
昨日発表された米国経済指標に関しては、
①新規失業保険申請者件数は2,123,000件と予想の210万件を上回りました。これで過去10週間の累計で4,000万件を超えたことになります。
②第1四半期GDP改定値は前期比年率マイナス5%と、速報値から0.2%悪化し2008年のリーマン・ショック来の下落となりました。
③4月耐久消費財速報値は前月比マイナス17.2%は予想値マイナス19%よりは良かったものの、2014年8月来の最低の数字でした。
④製造業出荷・資本財速報値は前月比マイナス5.4%は予想値マイナス12.2%より良かったものの、2009年1月来で最低の数字に落ち込みました。
と、一部は予想値よりは悪化が軽減されているように見えるものの、実数はかなり大きなマイナスです。経済活動は再開されたものの、経済回復がいつになるのかは極めて不透明であることを示唆している数字という判断もできると思います。
昨年は米中関係で株価は下落しました。今の所、米中関係の問題が再燃して来ているのですが、新型コロナショックが軽減されつつある中、経済活動が再開されたことでお祭りムード感が相場を支えています。実際に昨日の経済指標は冷静に見ればかなり深刻な数字にも拘わらず、実勢値が予想値より良かった?ことでマクロ経済が堅調だと解釈しているのです。
米国株のバリュエーションが異常に高い今、「米中関係緊張高まり」という昨年の相場下落要因を抱えながらの株価上昇はどうも腑に落ちません。今後潮目がどう変わって行くのか否かを意識しておく必要があるでしょう。「実経済と株価が合ってないよね」という話なんですが、何かがきっかけでナイアガラの滝のように株価が下落する可能性が高そうです。
それがコロナなのか米中対立なのか、はたまた別の何かなのかはわかりませんが、それぐらい今の株高は異常です。
とはいえ、こういう状況はなかなか体験できないので、自分なりに考察しつつ値動きを注視します。