IT業界の「多重下請け地獄」が横行し続ける真の理由
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これからデジタル庁ができます。そうすると自治体への外部ICT人材の登用が促進されます。(既に総務省からこの内容を含む計画が発表済)
そのときに不安なのが、結局使えない人材が大手~中堅システム会社から全国にばらまかれるだけばらまかれてほとんど効果がないという最悪の事態を招かないかということです。
役所に優秀かつ親切なエンジニアを獲得できる伝手があるとは限りません。大手のシステム会社と契約なり協定なりしてもらって数年間出向などしてもらう形が増えそうですが、そんな人材が大勢いるならとっくにまともなシステムばかりになっているはずです。
都道府県が市町村に人材を斡旋するという話もありますが、都道府県のシステムもイマイチなものが多いのに、そんな人材をたくさん紹介できるのか…眉唾です。
これまで官公庁のシステムは基本的に安かろう悪かろうが多く、仮に高くても悪かろうという、どうしようもないことが大半でした。
民間のエンジニアからの転職者の方もたまにいたりしますが、全体を見渡すことができていません。
それは多くの官公庁が基幹システム以外の事業ごとのシステムは事業担当課ごとに発注しており、その事業のことはわかってもシステムのことはわからないので業者の言いなりという例も少なくないからです。
導入時がそんな状況にもかかわらず改善案は追加予算が付かずになかなか実行できず、結局使い勝手がイマイチのまま気合いと慣れで頑張ることになります。
エンジニアの方々を一方的に批判するつもりはありません。記事中にあるような伝統的構造もあるかもしれませんので。
また、安かろう悪かろうを生み出す根本的原因は役所の側に大いにあるからです。
記事中のアジャイル方式を採れるような予算や導入スケジュールになっているのか、役所側にエンジニアからのヒアリングをまともに受ける余裕があるのか、などです。締切の短いアンケート調査のようなものだけでやった気になっているケースが多いですが、現実的には現場をよく見て、実際の使用者に細かく聞き取りをするべきです。プログラミング能力よりも事前の質問力の方が遥かに重要だと思います。
話を戻すと、自治体では現場をよく見て聞いて、仕様書の形に反映させたり、ニーズをうまく伝えられるICT人材が本当は必要です。
そのような人材がうまれにくい業界構造なのだとすれば非常に先行き不安です。