[メルボルン/シンガポール 28日 ロイター] - アジア時間の原油先物価格は前日に続き下落。米国の週間在庫統計で原油・ガソリン・ヒーティングオイル(暖房油)の在庫が軒並み予想以上に増加したことを受けて、スムーズな需要回復への期待が後退している。

石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」の来月9日の会合を控え、ロシアが大幅な減産を維持するか不透明だとの見方も、圧迫要因となっている。

0402GMT(日本時間午後1時02分)現在、米WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物<CLc1>は4.4%(1.44ドル)安の1バレル=31.37ドル。一時5%安の31.14ドルまで値下がりした。

北海ブレント原油先物<LCOc1>は3.2%(1.10ドル)安の33.64ドル。

米石油協会(API)が発表した週間在庫統計(22日までの1週間)によると、原油在庫は870万バレル増で、アナリスト予想の190万バレル減を上回った。

ガソリン在庫も110万バレル増と、アナリスト予想の10倍以上の増加。軽油・ヒーティングオイル在庫も690万バレル増と、アナリスト予想の4倍近い増加となった。

アクシコープのグローバルマーケット担当チーフトラテジスト、スティーブン・イネス氏は「APIの予想以上の在庫増加やロシアの生産を巡る懸念が原油相場を圧迫している」と指摘。

「OPECプラス会合前にはよくあることだが、ロシアのコミットメントが焦点になっている。同国は歴史的にこの枠組み内で対応が遅れてきたため、こうした懸念が出ても当然だ」と語った。

また、ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)の商品リサーチ担当責任者ラクラン・ショー氏は「需要の回復は進んでいるが、回復ペースはまだ鈍く、本格的な自律回復とはなっていない」と述べた。

市場関係者は28日発表の米エネルギー情報局(EIA)の在庫統計がAPIと同様の内容になるかに注目している。

ロシア大統領府は27日、プーチン大統領とサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が電話会談を行い、原油の協調減産で一段の「緊密な調整」を実施することで合意したと発表した。[nL4N2D93MF]

ただショー氏によると、市場では懐疑的な見方が根強い。

WTIは1バレル=30ドル台を維持しており、OPECプラスはは、損益分岐点が20ドル台後半から30ドル台前半の米国のシェールオイル業者が増産に踏み切るかをどうかを注視するとみられている。

ショー氏は「生産停止となっていた油井で生産が再開し、供給が再び増えるリスクがある」と述べた。

*内容を追加しました。