【超解説】今知りたい、「商社と資源」のはなし

2020/5/28
資源ビジネスの時代は終わるのかーー。
新型コロナウイルスの感染拡大と、原油価格の急落が、商社の財務を直撃した。2020年3月期の決算では、5大商社のうち、三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅の4社が、減収減益となり、「非資源」に傾注してきた伊藤忠だけが増益となった。
ボラティリティの高い資源ビジネスの負の側面が、もろにヒットした形だ。
(出所:各社決算)
今後、各社はさらに「脱資源依存」を進める見通しだが、そもそも商社が世界中で開拓してきた資源ビジネスは、資源小国の日本にとって、エネルギー安全保障の面で重要な役割を果たしてきたのも事実だ。
コロナ後、商社の石油やLNG(液化天然ガス)のビジネスはどうなのか。そして、日本のエネルギーの未来はどうなっていくのか。
NewsPicks編集部は、世界のエネルギーの専門家である国際大学大学院の橘川武郎教授に、商社が資源の世界で果たしてきた役割から、原油安の影響、そして新たなエネルギービジネスの未来までをあますところなく聞いた。

リーマンの7倍の衝撃

──原油価格の急落が、商社の決算にも大きな打撃を与えました。
橘川 今回の新型コロナウイルスで、世界のエネルギー需要にどれぐらい影響が出るのか。今のところ、一番信用できるのは、IEA(国際エネルギー機関)が4月に出した「Global Energy Review 2020」です。
これは2020年の見通しですが、衝撃的な内容です。