[ブリュッセル 27日 ロイター] - 欧州連合(EU)の欧州委員会は27日、新型コロナウイルスで打撃を受けた域内経済を立て直すため、1兆ユーロを超える復興計画を発表する。交付金・融資・保証が柱となるが、加盟国からは発表前から賛否両論が出ている。

復興計画では、痛手が特に大きい国や産業を支援し、経済格差で単一市場に亀裂が生じる事態を防ぐ。

経済活動の再開では、イタリア、ギリシャ、フランス、ポルトガル、スペインなど観光産業に大きく依存する高債務国が、財政が健全な北部の国よりも資金調達で不利な立場に立たされるとみられている。

欧州委員会はEU予算を担保にして市場から低利で資金を調達する計画。一部の資金については融資ではなく無償供与とすることを提案している。

また融資の形でも資金を供与し、借り入れを受けた国が返済する。保証を通じて投資のリスクを減らし、民間投資を増やすことも計画している。

オランダ、スウェーデン、オーストリア、デンマークは、共同で調達した資金を無償交付する案に懸念を示している。調達した資金はいずれ返済が必要で、将来的にEU予算への拠出拡大やEUでの新税導入が必要になるとみられている。

欧州委員会はそうした新税も提案する見通し。欧州委は2018年に加盟国政府に対し、プラスチックに対する課税や排出量取引制度による収入の一部、また法人税収入の一部をEU予算に拠出するよう提案したが、当時は加盟国の支持が得られなかった。

欧州委員会は、EUへの拠出金の払い戻し(リベート制度)の段階的廃止も提案している。

復興資金は、各国政府が2050年までの気候中立目標や経済のデジタル化を実現するために充当することになっている。