[ニューヨーク 26日 ロイター] - 米ニューヨーク証券取引所(NYSE)は26日、新型コロナウイルス感染拡大を受け停止していたトレーディングフロアでの取引を再開した。NYSEは3月23日にフロアを閉鎖し、電子取引に全面的に移行していた。

マスク姿で取引開始の鐘(オープニングベル)を鳴らしたクオモ・ニューヨーク州知事は、「この象徴的なフロアで取引が再開されたことで、ニューヨークは(経済活動の再開を)主導できると全国的に示した」と述べた。

ただフロアに復帰したのはトレーダーのほか規制当局や運営関係のスタッフら合わせて約100人と、通常の約4分の1程度。NYSEの指定マーケットメーカーやNYSE職員の大部分は在宅勤務を続けており、NY証取が完全に通常状態に戻ったわけではない。

復帰した職員は出勤に当たり公共交通機関の利用を避けることが推奨されたほか、取引所の建物に入る際に感染の有無を示す兆候の検査を受けた上で、同意書に署名することが求められた。

また、ソーシャル・ディスタンシング(社会的距離の確保)のためにフロアの収容人数は通常の75%減。感染拡大防止に向けプレキシガラス製保護シールドが設置されるなどした。

フロア取引再開初日となったこの日は株価は上昇し、ダウ平均株価<.DJI>は529ドル高で終了したほか、S&P総合500種指数<.SPX>は節目となる3000ポイントを一時突破した。

NYSEのステイシー・カニンガム社長はCNBCのインタビューに対し「約2カ月間にわたりフロア取引を停止していた間、新型ウイルスを巡る見識を深め、感染から身を守る方法を研究した」とし、「取引フロアで感染が拡大する恐れは大きく縮小されている」と述べた。

売買高の急増とボラティリティーの急激な高まりにもかかわらず、NYSEがフロア取引を停止し電子取引に移行していた間、目立った不調はなかったため、一部では1792年から株式の売買が行われてきた同取引所でのフロア取引を継続する実質的な意味はないとの見方も出ている。

ただNYSEは、フロア取引が行われている時はボラティリティーが低下し、買い気配値と売り気配値の差(ビッド・アスク・スプレッド)が縮小傾向にあることが統計で示されているとし、これにより投資家の経費節減につながると説明している。

*内容を追加しました。