[ブリュッセル 25日 ロイター] - 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は25日、カナダ航空最大手エア・カナダ<AC.TO>による同国の旅行会社トランザットAT<TRZ.TO>買収計画について、欧州・カナダ間の航空便の運賃上昇と選択肢減少につながる恐れがあるとの見解を示した。

トランザットの株価は約7%安の7カナダドルで引けた。

エア・カナダはトランザット買収により、旅行事業を強化し、同業ウエストジェット航空との競争力を高めることを目指している。

しかし、欧州委は同計画により欧州・カナダ間の33路線の競争が著しく損なわれる可能性があるとの懸念を表明。欧州の航空会社は間接的なライバルであり、ウエストジェットは強力なライバル会社として十分ではないと指摘した。

ベステアー委員(競争政策担当)は、声明で「現在は特に新型コロナウイルスの感染拡大で市場が深刻な影響を受けており厳しい時期だが、市場環境の正常・健全化は競争力のある市場に基づく必要がある」と述べた。

トランザットは発表文書で、欧州委の見解について精査しているとした。

同社はまた、エア・カナダに対し取引の完了期限を1カ月延長する意向を通知したことを明らかにした。期限は6月27日から7月27日に延期される。

規制当局は判断の期限を9月30日に設定している。