[フランクフルト/ベルリン 25日 ロイター] - ドイツ政府は25日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で打撃を受けた独航空大手ルフトハンザ<LHAG.DE>に対し、企業救済ファンド「経済安定化基金(WSF)」などを通じて90億ユーロ(98億ドル)の公的支援を行うことで同社と基本合意した。

政府がルフトハンザの株式20%を取得し、2023年末までに売却する予定。1株当たり額面価格2.56ユーロで、約3億ユーロ(3億2700万ドル)の新株を購入する。

これに追加し、政府は57億ユーロの議決権のない資本参加も行う。政府はルフトハンザに対する敵対的買収を阻止するため、あるいは同社が2020年と21年に4%の利息の支払いができなかった場合、この一部を議決権株式5%に転換して保有率を25%プラス1株に引き上げ、重要議案に拒否権が持てるようにする可能性があるという。

ルフトハンザはここ数週間、救済策について政府と協議を行っており、救済と引き換えに政府がどの程度の監督権限を得るかが争点となっていた。

独財務省と経済省はルフトハンザの経営状況について、従来は健全で見通しも明るかったが、新型コロナのパンデミックで問題が出たと説明した。ショルツ財務相は救済策について、同社と納税者の双方のニーズを考慮した「極めて良い解決策だ」とし、支援策は時限的なものと強調した。

ルフトハンザの株価は7.5%高の8.64ユーロで終了した。

競合他社では、フランス・オランダ系航空大手エールフランスKLM<AIRF.PA>、米国のアメリカン航空<AAL.O>やユナイテッド航空<UAL.O>、デルタ航空<DAL.N>も政府支援を要請している。

ルフトハンザによると、今回の合意には将来の配当支払い免除と経営陣の給与制限が含まれる。政府は監査役会の2ポストを占める。

アルトマイヤー経済相は、今回の救済策で「ルフトハンザの身売りが阻止される見通し」だと述べ、数千人の雇用維持につながるとした。

また、ルフトハンザはドイツ復興金融公庫(KfW)や民間銀行から期間3年の30億ユーロの融資も受ける。

合意によると、WSFは定例の株主総会での議決権行使を控える。

今回の救済策は欧州連合(EU)欧州委員会の承認も必要になる。アルトマイヤー氏は公共放送ARDのテレビ番組で、過去の大型企業救済策は全てEUと連携し、承認も得られたため、「今回も解決策が見いだせると期待している」と語った。

関係筋によると、独政府と欧州委はルフトハンザの救済策で競争が阻害されないよう、同社のどの発着枠を減らすべきかについて協議を続けているという。

独紙ハンデルスブラットによると、メルケル首相は運航枠是正に行き過ぎがないよう対応する意向を示した。

*内容を追加しました。