[東京 25日 ロイター] - 政府は25日、2020年度2次補正予算案策定に向けた詰めの作業に入った。新型コロナウイルス対策の追加で事業規模は1次補正予算と合わせて200兆円を超える見通し。

安倍晋三首相は記者会見で「国内総生産(GDP)の4割にのぼる空前絶後の規模。世界最大の経済対策で100年に一度の危機から日本経済を守り抜く」と強調した。対策の裏付けとなる2次補正予算案を27日の概算閣議で決定する考えも示した。

追加対策は1次補正を補強する位置付けで、1)雇用調整助成金の拡充、2)資金繰り対応の強化、3)家賃支援給付金の創設、4)学生支援緊急給付金の創設、5)医療提供体制の強化──などを柱とする。

雇用調整助成金の拡充では、中小企業や大企業を対象に日額上限を8330円から1万5000円に特例的に引き上げる。適用期間についても4月1日まで遡及させるとともに、6月30日までとしていた特例期間を9月30日まで延長する方針だ。

海外での感染症の動向が見通せない現状を踏まえ、資金繰り対応に万全を期す方針も打ち出す。中小・小規模事業者向けの無利子・無担保融資の拡充に加え、劣後ローンの活用や金融機能強化法に基づく民間金融機関に対する資本参加スキームの期限延長を明記する。複数の政府筋が明らかにした。

資金繰り対策は1次と2次の総額で130兆円を超える見通しで、首相は会見で「企業規模の大小にかかわらず、政策投資銀行や公的ファンドを通じて劣後ローンや出資など資本性資金を供給する」と語った。

日銀が22日の臨時会合で決定した新たな資金供給手段にも言及し、「政府と日銀一体となりあらゆる手段を講じる」との考えもあらためて述べた。

与野党で議論があった企業の家賃支援については「家賃負担を軽減するため、最大600万円の給付金を新創設する」と説明した。持続化給付金は売り上げの減少が前年同月と比較できない事業者には給付されていなかったが、「使い道が全く自由な最大200万円の持続可給付金を対象を拡充し、本年創立したばかりのベンチャー企業も活用できるようにする」とし、制度設計を柔軟にする考えも示した。

<全国で緊急事態宣言を解除、「日常取り戻すには時間」>

政府は同日、全国での緊急事態宣言の解除を決定。安倍首相は会見で「日本ならではのやり方で、1カ月半で流行を収束させることができたと判断した」と述べた。

社会・経済活動を厳しく制限すると国民の生活が立ち行かなくなるとしつつ「完全な日常生活を取り戻すにはかなりの時間を要する」との見通しを示した。

東京オリンピックについては「新型コロナに完全に打ち勝った証として、来年夏に完全な形で開催したい」とこれまでと同様の見解を示したが、来年開催の可否をいつまでに判断するかについては言及を避けた。

五輪を開催するにあたり「日本だけで感染症が収束すればよいということではない」とし、国内外の英知を集約してワクチンの開発を急ぎたいと強調。 世界的に新型コロナの感染拡大の終息時期が不透明な中、「治療薬やワクチンを、透明性の高い国際的な枠組みの下で途上国も使えるようにしていく」とし、特許権プールの設立を来月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)で提案すると述べた。

G7サミットについては「米国で実際に開催することも含めて、今調整している」と明らかにし、「調整が整えば、私も参加したい。現段階では各国と調整中だ」とした。

*内容を追加します。

(浜田寛子、山口貴也 編集:田中志保)