【三井物産トップ】変われなければ、商社は「不要」になる

2020/5/25
総合商社のビジネスモデルが大きな転換点を迎えている。
かつてトレーディングで2000年代には資源投資で純利益を大きく膨らませ、2010年代の原油安を経て、現在は事業投資へと大きく舵を切っている。
キーワードは「非資源」だ。
市況の変動に左右されやすい資源投資の割合が大きいと、市況次第で業績の変動幅が大きくなる。安定的に「稼ぐ」体質になるには、資源以外の事業の割合を高める必要がある。
生活消費関連の事業を育て、トップの三菱商事に純利益で肉薄する伊藤忠商事は、「非資源の時代」の商社の典型といえるだろう。
だが、非資源の事業は対象が幅広い分野に広がるため、商社の実態を従来以上にわかりにくくしている。株式市場で厳しい評価が続いているのも、このわかりにくさが根底にありそうだ。
では、商社はこれからどこに向かうのか。新たな成長の柱になり得る事業は何か。
NewsPicks編集部の問いに、三井物産の安永竜夫社長が答えた。
安永竜夫(やすなが・たつお)三井物産社長。1960年愛媛県生まれ。1983年東京大学工学部卒業後、三井物産に入社。化学プラント輸出、米国駐在、経営企画部長、執行役員機械・輸送システム本部長を経て、2015年4月に社長就任(写真:是枝右恭)

人流・物流が「蒸発」した

──コロナや原油安によって、商社のビジネスが転換期を迎えています。
今、相当なパラダイムシフトが起きています。