[ムンバイ 22日 ロイター] - インド準備銀行(中央銀行)は22日、6月初めに予定していた金融政策委員会を前倒しして開催し、政策金利のレポレートを40ベーシスポイント(bp)引き下げ過去最低の4.00%とした。レポレートの引き下げは今年2回目。リバースレポレートも40bp引き下げ3.35%とした。

中銀は今年度(2020年4月─21年3月)がマイナス成長になると予想、ローンのモラトリアム(返済猶予)をさらに3カ月延長し6カ月とした。

利下げは、新型コロナウイルス対策として導入されたロックダウン(都市封鎖)の経済的な悪影響を緩和することが狙い。レポレートは、封鎖措置が導入された3月下旬からきょうまでに累計115bp下げられた。

ダス総裁は「金融政策委員会は、レポレートを引き下げ、インフレ率を目標圏内に維持しながら、成長再開と新型コロナ感染症の影響緩和に必要な限り緩和的スタンスを維持することを全会一致で決定した」と述べた。 利下げ幅は賛成5・反対1で決まった。

利下げを受け、インドの10年債利回り<IN064529G=CC>は一時18bp低下し5.85%となった。

HDFC銀行のチーフエコノミスト、アブヒーク・バルア氏は「緊急利下げは、総裁が言及した成長への深刻な懸念の表れだ。中銀の素早い行動と、あらゆる選択肢を視野に置く姿勢は歓迎だ」と述べた。

3月25日から始まったロックダウンは5月末まで延長された。これにより、大半の経済活動がまひ状態となっている。

ダス総裁は「需要の減少と供給の混乱が重なり、上半期の経済活動が抑制される」とし「あらゆる不透明要因を踏まえると、20/21年度のGDP伸び率は引き続きマイナス成長となる見通しだ。20/21年度下半期以降は成長の勢いがやや増すとみられる」と述べた。

供給の混乱による食品価格の値上がりにも言及。しかし、金融政策委員会はインフレ率が年内に中期目標の4%を下回ると予想していると説明した。

「成長見通しには、リスクが最も深刻になるとの委員会の認識が入っている。インフレ率が予想通りに推移すれば、成長リスクに対処する余地が広がる」と述べた。

アナリストは、今年度末までにあと50─75bpの利下げがあると予想している。

<債務モラトリアムの延長>

中銀は3月、企業の運転資金借り入れなどのローンの返済、利払いを3カ月猶予し、猶予期間中はデフォルトとみなさない措置などを講じた。

ダス総裁は「ロックダウンの延長、新型コロナによる混乱が続いていることを踏まえ、猶予措置をさらに3カ月延長する」と述べた。

これにより、企業の負担は軽減される。しかしエコノミストは、猶予期間が終わった時に不良債権問題が深刻化することを懸念する。

L&Tフィナンシャル・ホールディングスのチーフエコノミスト、ルパ・レゲ・ニツレ氏は「中銀は、コロナ後のモラル問題や不良債権増加を制御する革新的な方法を考える必要がでてくる。インドはこれほど深刻なリセッションを経験したことがない。中銀にとって脆弱な金融セクター支援の取り組みは厳しい試練となるだろう」と述べた。

*内容を追加しました。