【新】トヨタ社長に学ぶ「強いリーダー」の条件

2020/5/22
まるで預言者のように、新しい時代のムーブメントをいち早く紹介する連載「The Prophet」。今回登場するのは、新著『豊田章男』(東洋経済新報社)がベストセラーとなっている、経済ジャーナリストの片山修氏だ。
現役の日本の経営者の中でも、最も「顔が見える社長」のひとりとして注目を浴びる、トヨタ自動車の豊田章男氏。
自社メディアの『トヨタイムズ』に積極的に姿を見せ、「クルマ愛」を熱く語り、芸能人らと親しく交流し、自らラリードライバーとしてもハンドルを握る──そんな豊田社長のパブリックイメージは、今や広く浸透している。
一方で、豊田社長の実像は「トヨタ社内でも十分に理解されているとは言えない」と、片山氏は言う。
2009年に社長に就任した当時は、「地味な御曹司」の印象がぬぐえなかった豊田社長。現在のようなカリスマ性のあるリーダー像は、いかにして築き上げられていったのか。
今回の「The Prophet」では、ベテラン経済ジャーナリストの視点で読み解いた、豊田章男社長の「リーダーシップ」の核心を、全3回で紹介する。
片山 修(かたやま・おさむ)
経済ジャーナリスト。愛知県名古屋市生まれ。経済、経営など幅広いテーマを手掛けるジャーナリスト。鋭い着眼点と柔軟な発想力が持ち味。長年の取材経験に裏打ちされた企業論、組織論、人事論には定評がある。
「大義」の人
──このたびのコロナ禍で「強いリーダー」を求める機運がいっそう高まっています。その文脈において、豊田章男氏の統率力を片山さんはどのように評価していますか?
片山 今日、数多くの社長がいる中で、豊田章男氏ほどリーダーシップを持っているトップは数少ないでしょう。
彼はこう言っています。「社長の仕事は決めることと、責任をとることだ」
その言葉通り、万事にスピード感を持って物事を判断している。今回、企業としていち早く医療現場の支援(フェイスシールドの生産など)に乗り出したのも、その表れでしょう。
その点がまず、今回のような危機において、リーダーとして評価される部分だと思います。