[東京 21日 ロイター] - 財務省が21日発表した4月貿易統計速報は、貿易収支が9304億円の赤字だった。新型コロナウイルス感染症の世界的流行で国際的な取引が大幅に縮小し、輸出が前年比21.9%減と落ち込んだ。

輸入が事前予測より強めに出た結果、貿易赤字はロイターの予測中央値5600億円の赤字を大幅に上回った。輸出は2009年10月以来の減少率。国際商品市況の下落で原粗油などの輸入は落ち込んだものの、中国からマスクなどの輸入が急増した。

輸出の減少は17カ月連続。減少率はロイターの予測中央値22.7%減よりは小さかった。

主な減少品目としては、自動車が前年比50.6%減となり、東日本大震災直後の11年4月以来の落ち込みとなった。米国向けの2000―3000ccなどが不振だった。

米国向けの輸出は37.8%減で09年7月以来の大幅減少。自動車に加え、航空機エンジン部品などの原動機、ギアボックスなどの自動車部分品の輸出が減った。

中国向けの輸出は4.1%減と前月の8.7%減からマイナス幅は縮小した。ICなど半導体等電子部品が伸びた。

一方、輸入は7.2%減で12カ月の減少となったものの、ロイターの予測中央値12.9%減に比べて減少率は小幅だった。

市況安で、サウジアラビアなどからの原粗油の輸入が43.7%減と落ち込んだが、マスクを含む織物用糸・繊維製品の輸入が急増。中国からの織物用糸・繊維製品の輸入は3.3倍に膨れ上がった。

中国からの輸入は11.7%増。パソコンなど電算機類(周辺機器を含む)も17.2%増となった。

財務省幹部は「新型コロナは世界的に終息していない。貿易収支への影響は引き続き出てくる可能性がある」と予想している。

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(和田崇彦 グラフ作成:田中志保 編集:青山敦子)