[ワシントン 19日 ロイター] - トランプ米大統領は19日、米国は肉牛の輸入に関する貿易協定の破棄を検討すべきとの見解を示した。連邦政府は新型コロナウイルスの流行で影響を受けた農業生産者の支援に取り組んでいる。

トランプ大統領は、ホワイトハウスの農業支援に関するイベントで、米国は貿易協定により他国から肉牛を購入しているとし「このような協定の破棄を検討すべきだと思う」と指摘。「米国には多くの肉牛がいる」と語った。具体的な国名や貿易協定には言及しなかった。

米国は国内の供給を補うためメキシコとカナダから肉牛を輸入し、タイソン・フーズ<TSN.N>やJBS(米国)[JBS.UL]などが運営する米国内の工場で食肉処理を行っている。

生体牛の輸入元はメキシコとカナダのみで、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定、USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の下で認められている。米国が肉牛輸入を禁止すれば、貿易摩擦が再燃する可能性がある。

ホワイトハウスのイベントに参加した全米肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)のプレジデント、マーティー・スミス氏は「トランプ大統領はそうした発言をすべきでなかった」と述べた上で、誤解に基づく提案の可能性もあるとの見方を示した。

メキシコ畜産連合会(CNOG)トップのオズワルド・チャザロ氏は、トランプ氏の意見を尊重するものの、消費者に恩恵をもたらす統合型牛肉市場を構築するために長い年月が費やされたと指摘。「この健全でバランスのとれた双方向の貿易を維持するため、一段の熟慮が必要だ」と述べた。

同氏によると、メキシコは昨年およそ120万頭の肉牛を米国に輸出し、メキシコ企業は米国産牛肉の輸入を拡大している。

カナダ肉牛生産者協会(CCA)はウェブサイトに掲載した声明で、米国とカナダの牛肉貿易は「不可欠」かつ「相互に有益」だとの見解を示した。

この日開催されたホワイトハウスのイベントでは、議会で承認された190億ドルの農業生産者向け新型コロナ対策の分配について協議。農務省は19日、農業生産者からの支援申請を26日から受け付けると発表した。

*内容を追加します。