[19日 ロイター] - 米小売大手ウォルマート<WMT.N>が19日に発表した第1・四半期(2─4月)決算は、売上高と利益が予想を上回った。新型コロナウイルス感染拡大を受け、日用品などを買いだめる動きが広がったことで押し上げられた。

買いだめの動きは感染拡大抑制に向け外出制限などの措置が導入された3月末から4月初めにかけて増大。ただ、新型ウイルス感染拡大により先行き不透明感が高まっているとして、通年業績見通しは取り消した。

2─4月期決算は、営業利益が5.6%増の52億2000万ドル。調整後の1株当たり利益は1.18ドルと、市場予想の1.12ドルを上回った。ただ、新型ウイルス感染拡大に対応するための追加費用として約9億ドルを計上したため、営業利益率は20.5%と、62ベーシスポイント(bp)低下した。

ムーディーズのアナリスト、チャーリー・オシア氏は「感染拡大に関連する費用やオンライン販売のコストを踏まえると、営業利益率の低下はそれほど悪くはなかった。このことは、ウォルマートがオンライン販売の需要急増に既存の枠組みで対応できることを示している」と述べた。

全体の売上高は8.6%増の1346億ドルと、アナリスト予想の1327億9000万ドルを上回った。

オンライン事業の売上高は74%増。生鮮食料品の店舗受け取りサービスのほか、料理などの配達サービスなどが急増。電化製品や玩具、スポーツ用品などの需要も増加した。

国内既存店売上高(燃料除く)は10%増。リフィニティブがまとめたアナリスト予想は8.8%増だった。

トイレットペーパーや掃除用品などの販売は当初の買いだめ需要の一巡後は下火になったものの、4月中旬以降は政府支援による購入が追い風になったと指摘。ダグ・マクミロン最高経営責任者(CEO)は「第1・四半期の終盤にかけて、新たな需要の波が見られた」と述べた。

ウォルマートは第2・四半期入り後もこうした需要は続いているとしながらも、需要がこのペースで継続するとは予想していないとした。

また、新型ウイルス感染拡大を巡り先行き不透明性が高まる中、コスト削減の一環として、2016年に買収したネット通販企業のジェット・ドット・コムを存続させないことを決定。自社のオンライン販売事業が好調なこともこうした決定の背景にあるとした。

ウォルマートは食料品や生活必需品の需要急増に対応するために人員の採用を進めており、これまでに23万5000人の時間給労働者を増員した。このほか、一時的に従業員の給与も引き上げている。

CFRAリサーチのアナリスト、ガレット・ネルソン氏は「ウォルマートは『パンデミックの勝者』とも言え、苦境に陥った中小の小売業者や百貨店などから市場シェアを奪う可能性がある」と述べた。

終盤の取引で株価は小幅安となっているが、一時は約3.4%上昇。年初からは約7%上昇している。

*内容を追加しました。