[18日 ロイター] - バイオ医薬大手の米モデルナ<MRNA.O>は18日、同社が開発を進める新型コロナウイルス感染症のワクチンが初期段階の小規模治験で有望な結果を示したと発表した。

3月に開始した治験で、ワクチンを投与された健康なボランティアの被験者8人全員に抗体が検出された。総じて安全性も証明された。

治験では、投与されたワクチンの用量が100マイクログラムと25マイクログラムのどちらでも、新型コロナ感染症から回復した患者を超える水準の抗体が検出された。

治験の暫定結果の発表を受けて、同社の株価は約20%高で通常取引を終了した。

その後同社は、ワクチン開発と生産の資金を調達するため13億4000万ドル相当の普通株の売り出しを開始。売り出し価格は1株76ドル。当初は12億5000万ドル相当と発表していた。

ジョンズ・ホプキンス健康安全保障センターのアメッシュ・アダルジャ博士は「これは意義ある結果だが、まだ治験は第1段階で、対象は8人だけだった。有効性よりも安全性を確認するのが目的だった」と指摘した。同氏はモデルナのワクチン治験に関与していない。

新型コロナを巡っては、抗体の量がどれだけあれば感染を防げるのかや、感染予防の効果がどれだけ長く続くかについて、研究結果がまだ確立していない。

モデルナによると、今回の治験では、100マイクログラムのワクチンを投与された被験者で、それより少量を投与された被験者よりも多くの抗体が作られており、接種量と抗体の反応に相関が見られた。

同社のワクチンは、既に治験の第2段階に進むための承認を得ている。また、米食品医薬品局(FDA)は前週、ファストトラック(優先承認審査)対象に指定している。

同社は第2段階について、接種量を当初予定の250マイクログラムから50マイクログラムに変更すると明らかにした。将来的な生産本数を増やす狙いがある。

米政府は4月にモデルナのワクチン開発に対し、厚生省の生物医学先端研究開発局(BARDA)を通じて4億8300万ドルを資金援助している。

同社はこの資金によって、2020年に月間で数百万本の生産が可能になり、ワクチンの有効性が証明されれば、追加投資によって21年は月間で数千万本が生産できるようになるとした。

同社は今月、スイスの製薬会社・ロンザ・グループ<LONN.S>との10年間の戦略的協業で合意しており、モデルナのタル・ザクス最高医学責任者はインタビューで、この協業で21年末までに1回の接種量50マイクログラム換算で年間最大10億本の生産体制が整う見通しだと述べた。

ザクス氏はまた、米国以外へのワクチン供給についても検討していると述べた。

モデルナは7月に大規模な第3段階(後期)の治験を開始する予定とした。

一方、初期段階の治験で報告された最も顕著な副作用は、被験者のうち3人が最大量を2回投与された後に示したインフルエンザに類似した症状だったという。同社は強い免疫応答の間接的な作用のようだと分析した。

*内容を追加しました。

(※原文記事など関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください)