(ブルームバーグ): ソフトバンクグループは18日、中国のアリババ・グループ・ホールディング創業者の馬雲(ジャック・マー)氏が取締役を退任すると発表した。

株主総会が行われる6月25日付。広報担当の湯浅謙一氏は、退任は本人の意向だと説明した。ホームページによれば、マー氏は2007年6月から取締役を務めていた。ブルームバーグのデータによると、ソフトバンクGはアリババ株を25%保有している。

昨年末には、01年6月から社外取締役を務めていたファーストリテイリングの柳井正氏も退任しており、孫正義社長と親交のあるカリスマ経営者がまたも去ることになった。マー氏は、55歳の誕生日を迎えた昨年9月にアリババの会長も退いた。

ソフトバンクGは3月、自社株買いと負債削減に充てるため、最大4.5兆円規模の資産売却や資金化を行うと発表。アリババ株が売却対象になる可能性が浮上していた。18日に発表される前期(20年3月期)決算は、1兆3500億の営業赤字になる見込みで、元凶のビジョン・ファンドの運営手法やガバナンスの強化が課題となっている。

いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は電話取材で、マー氏の退任について「アリババ株の資産売却に向けた一歩だとみている」と話した。

後藤CFOが新取締役に

後藤芳光最高財務責任者(CFO)が取締役に新たに就任する人事も発表された。投資会社ウォルデン・インターナショナル創設者リップブー・タン氏と早稲田大学大学院経営管理研究科の川本裕子教授が社外取締役となる。

このほか、発行済株式総数の6.7%に当たる1億3500万株・総額5000億円を上限に自社株買いを行うと発表した。取得期間は18日から21年3月31日までで、3月に発表した2兆円の自社株買い計画の一環。広報担当の湯浅氏は、自社株買いの枠設定は今後も段階的に行うとしている。

また、サウジアラビア政府系のパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)がソフトバンクGのビジョン・ファンドへの投資を担保に、約100億ドル(約1兆700億円)の借り入れを計画していることが事情に詳しい関係者の話で分かった。PIFは電子メールの声明で、「ビジョン・ファンドへの投資を担保とするマージンローンは計画しておらず、検討すらもしていない」と否定した。

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