【スクープ】ソフトバンクの「まぼろしの上場計画」を追う

2020/5/18
2019年11月下旬、東京はソフトバンク本社。ここで孫正義社長をゲストにして、ラーメンの試食会が開かれていた。
熱々のラーメンには、具材がぎっしり載っていた。これを調理したのは人間ではなくて、ラーメンロボット(自販機)だ。
九州出身の孫社長は、とんこつラーメンの本場の味をよく知っている。スープをすくって、麺をすすり上げる。
「これ、おいしいよな?」
孫社長がそうつぶやくと、近くに座っている経営メンバーからは「ええ、おいしいですね」との声が上がった。
(写真:Bloomberg / Getty Images)
実はこのラーメンロボット(自販機)は、ソフトバンクが出資を検討していた、米サンフランシスコを拠点にするベンチャー企業、ヨーカイ・エクスプレス社が作ったものだ。
いつでも、どこでもおいしく食べられる。そんな創業者の思いから、この即席ラーメンは「妖怪ラーメン」と名付けられている。
もちろん孫社長の関心事は、妖怪ラーメンの味ではない。このラーメンロボットへの投資判断をするためにも、その商品をチェックしていたのだ。
しかしその背後には、ソフトバンクグループが秘密裏に進めている、ある一大プロジェクトが横たわっていることは、一切知られていない。