思うように外出ができない今、ソーシャルメディア(SNS)上では「ドライブインシアター」の復活を望む声が上がっている。
その理由は明白だ。もともと車社会であるアメリカではあるが、特に今ではソーシャルディスタンシング(社会的距離)を確保するために、日々の買い物や日曜日の礼拝に行くにも車を使っている。
外国に目を向ければ、韓国での事例のように車に乗ったままコロナウイルスの検査ができるよう整備された国もある。
各家庭で隔離しあったまま、車に乗りながら、みんなで楽しめる。集団エンターテインメントの元祖とも言えるドライブインシアターの復活を求める声が高まっているのだ。
実はその復活は、既に実現している。ニューヨーク・タイムズ紙は3月24日付の記事で、米国内の複数の州でドライブインシアターが復活していると紹介している。
アトランティック誌も3月30日に、車の中で、あるいは荷台の上で肩を寄せ合ってドライブインシアターを楽しむ家族たちの印象的な写真を掲載。カリフォルニア州やフロリダ州だけでなく、ドイツや韓国の写真も紹介した。
上映される作品は必ずしも新作ではないが、それはビジネスに悪影響を及ぼすことはないという。むしろ全世代に関わるウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の中では、見知った映画の方が楽しめるのかもしれない。
(Artem Peretiatkock)/iSto
登場は30年代、ブームは50年代にも
実際、公衆衛生上の危機の下でソーシャルディスタンスの維持を尊重する気持ちから、私たちがドライブインシアターに目を向けたのは、今回が初めてではない。
ライターのナオミ・トムキーがフード・アンド・ワイン誌(Food & Wine)に寄せた記事の中で指摘しているように、アメリカにドライブインシアターが出現したのは1933年。ポリオ(小児まひ)のワクチンの誕生より20年以上前のことだ。
1950年代にポリオが大流行すると、一部のドライブインシアターは、自分たちの施設は「インフルエンザやポリオに感染することがない」し、加えて「子どもをベビーシッターに預ける心配もしなくていい」完璧な場所だと豪語した。
当時のこうした宣伝文句の一部は、子どもが感染源にさらされることを恐れる保護者たちに効果的だった。
これでドライブインシアターは「『恋人とイチャつく場所』からファミリー・エンターテインメントの場所へと評判を高める」ことができたとトムキーは書いている。偶然にも全米ドライブインシアター所有者協会によれば、アメリカでドライブインシアター人気が最高潮に達したのは1950年代後半。1958年には米国内に4063のドライブインシアターがあった。
社会的距離を保ちつつ、娯楽を楽しむ
最近では、新型コロナウイルスのパンデミックの影響で閉店を余儀なくされている複数のレストランも、ドライブインシアターの人気復活に便乗し始めている。
レストランの駐車場に空気を入れて膨らませるタイプの巨大なスクリーンを設置しているのだ。フード・アンド・ワイン誌がドライブインシアター人気の復活に注目している理由もここにあるかもしれない。
トムキーによれば、ヒューストンにあるレストラン「ザ・バトラー・ハウス」など一部のレストランでは、旧作の映画とワインのテイスティングを組み合わせた「ビンテージ・ナイト」のような「デートにぴったりのイベント」を用意している。
大人だけでなく全ての年齢層が楽しめるイベントとして、たとえばオマハにあるタコス・レストランのように、『ゴーストバスターズ』や『トランザム7000』を上映しているところもある。
これを好機と捉えて、ドライブインシアター事業の再活性化に取り組んでいるところもあるようだ。フロリダ州では、ベリタス・シアターズ(Veritas Theatres)のスペンサー・フォルマ―CEOが100万ドル規模の新施設の建設を提案。
彼は自分の地元であるユースティスに世界最大のドライブインシアターを建設し(実現すればギネス世界記録認定は確実だという)、その周囲にキャンプ場やキャンピングカー用グラウンド、レストランやショップを建設する計画を提案しており、地元当局の認可を待っているところだ。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Lila MacLellan、翻訳:森美歩、写真:Jewelsy/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with KINTO.